サウナ発祥の地であるフィンランドの夏が涼しくて過ごしやすいのに対し、日本の夏は高温多湿。この違いを踏まえつつ、まずは基本的なサウナの入り方を知っておこう。そのうえで、夏ならではのちょっとしたととのうための工夫についても知りたい。

まず、基本となるサウナの入り方について。医師で日本サウナ学会代表の加藤容崇さんによれば、「サウナ→水風呂→外気浴」が基本の1セットで、これを3セット繰り返す。各セット間には、こまめに水分補給を行おう。最終セットは、「サウナ→10秒程度の短い水風呂→水シャワー」で、体の芯を冷やさずに皮膚の表面を引き締めるのがおすすめ。これによって特に、夏はだらだらと汗が流れるのを防ぐことができるという。

「サウナの基本的な流れはありますが、あくまで参考程度に。最近では、ととのうのに適したサウナの入り方にはかなり個人差があることがわかってきました」(加藤さん)

夏はサウナ前の“水通し”がおすすめ

夏場、サウナ室で「あちぃい……」と声を漏らし、ゆでダコのようになっている人をよく見かける。80℃以上もの室内で我慢し続けるのは、かえって体に悪いように見えるが?

「サウナに入る目的は自律神経の機能を活発にすることです。通常サウナ室に入ると、『温かい』と心地良さを感じて副交感神経が優位になる。その後、『熱い』と体が危機感を覚えて交感神経が急激に活性化して汗が出ます。

しかし、夏は暑い屋外とクーラーの効いた涼しい室内を出入りするせいで、自律神経が弱っている。そのうえ、体も最初から熱をためています。そんな状態でサウナ室に入っても副交感神経が高まらずリラックスできないために、『暑い』『きつい』など不快に感じストレスホルモンが多く出てしまいます。いつもと同じ6分間、サウナ室にいたとしても、早い段階でしんどくなってくる。サウナ室で快適に過ごせないようなら、湯あたりのような状態になったり、脱水症状になったりして危険。我慢は禁物です。

ではどうすればいいのか? 私が普段やっているのは“水通し”です。サウナ室に入る前に水風呂に浸かり、火照った体を一旦冷やす。水風呂の温度が低くて難しい場合は、水シャワーを浴びたり、クーラーの効いた脱衣所で過ごしたりするのもいいでしょう。クールダウンしてからサウナ室に入ってみると、温かくて気持ちいいと感じるはずです」

また、サウナ室を出るタイミングを6分、10分など時間で決めている人が多いが、体に負担を掛けないようにするためには別の基準を設けたほうがいいのだという。

「その日の体調や施設によって体の温まり方は違います。私は、体内の自律神経の状態を客観的に判断できる脈拍数を基準にしています。しんどくない程度の運動時の脈拍数になったらサウナ室を出る。いちいち脈を測るのは面倒だという人は、頭の中で聞きなれた曲を再生してみてください。曲のリズム(BPM=1分ごとの拍)と脈拍数がシンクロすればOK。

『ドラえもん』の『あんなこといいな、できたらいいな』という曲のリズムの速さは1分に100回。人によって脈拍数は異なるため、自分の脈拍の目安となる曲を探してみてはいかがでしょうか。他に、ゆずの『夏色』(120/分)やTUBEの『シーズン・イン・ザ・サン』(124回/分)などは季節的にもぴったり!」