「この世には知らないほうがよかったことがある」

雪松署長(伊藤英明)に「お前の兄を殺した可能性がある、鹿浜(林遣都)を監視しろ」と命じられた馬淵。停職処分中の刑事である鹿浜が、ひとりで暮らす豪邸へ向かった馬淵は、出会ってそうそう「この世には知らないほうが良かったことがある」と唐突に言われるのだ。

鹿浜の言うことは、聞く人を煙に巻くようなセリフが多く、いちいち抽象的だ。しかし、なぜか考えさせられてしまう。

その後、鹿浜は生活安全課の刑事・摘木星砂(松岡茉優)や会計課・小鳥琉夏(柄本佑)とも出会い、4人で事件を解決していく。このドラマは、捜査権のない4人が推理し、陰ながら事件解決に尽くす点も見どころだ。

鹿浜はよく「マーヤーのヴェールを剥ぎ取るんだ」とも口にする。これは「現実にとらわれていると本質を読めなくなる」ことを意味した、ドイツの哲学者・ショーペンハウアーによる言葉。4人が事件を推理するときに集合する鹿浜宅にて、頻出するセリフだ。

通称・自宅捜査会議を行うたび、星砂に対して恋心を募らせる鹿浜(本人は否定しているが)。あまつさえ、それを”殺意”と捉えてしまう。

しかし、悠日の言うようにそれが本当に恋心なのだとしたら……。鹿浜にとっての「知らないほうがよかったこと=初恋の悪魔」といった図式が成り立つのだろうか。