不安感が大きいという日本の病理

しかしこれは、「だから日本の女はダメなんだ」という話ではありません。同じように事実を指摘しただけで激怒するひとたちがほかにもいるからです。私は10年ほど前からツイッターを始めて、基本は旅とサッカーの話なのですが、ここで述べたようなことをときどきつぶやくことがあります。

たとえば、「これから生涯現役社会が到来する」という話題で、「65歳で定年を迎えてから、年収300万円の仕事をつづければ、75歳までに3000万円になる」と書いたとします。当たり前の話だと思うでしょうが、なんとこのコメントに対してお怒りが殺到するのです。その大半が、「高齢者に年収300万円の仕事なんかない」というものです。

すぐに気づくように、これは「女に(生涯)2億円も稼げるわけがない」というお怒りと同じです。なぜこんなことですぐに炎上するかというと、昼間からネットを見ているようなひとたちはそもそも人的資本が小さい(だからこそ働いていない)という事情があるのかもしれませんが、それ以前に日本人がものすごくネガティブだからでしょう。だからこそいろんなことを悪い方に考えて、ありとあらゆるポジティブな提案に対して「そんなのできるわけない!」と怒り出すのです。

そのことをよく表わしているのが、「病気になったらどうするんだ?」という反論です。もちろん健康でなければ働けない(あるいは働くことが困難になる)のですが、そんなことをいっていたら、「交通事故にあったらどうするんだ?」といって外出すらできなくなります。

さらに不思議なのは、これほどまでにネガティプなひとたちが、交通事故にあうよりはるかに確率の低い宝くじで7億円当たることを夢見て、財布を握りしめて宝くじ売り場に長蛇の列をつくっていることです。

不安感が大きいというのは日本社会に深く根づいた「病理」で、その結果、会社に「安心」を求めて終身雇用にこだわり、自分たちでタコツボをつくって苦しんでいるわけですが、これは逆にいうと、まわりがみんなネガティブなのだから、ポジティブな選択をするとものすごく有利になるということでもあります。

それでは後編で、私の知っている「勇気の出る話」を紹介しましょう。

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橘玲
専業主婦は2億円損をする!? 前近代的な性別分業が夫の問題でもある理由_1
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