「やるな」と言っても、どうせやるのなら

とはいえ、「やるな」と言っても、どうせやるでしょう。大人だってスマホを片手にSNSやゲーム、ユーチューブに夢中になっているのだから、子どもにそれを制限させるのは無理な話です。

たいていの人は、いくら学校や親が注意しようと、誰も見ていなかったり、仲間同士であれば、スマホをポチポチするはずです。だったら本当に教えなければいけないのは、「正しい利用方法」や「対処法」です。

インターネットやSNSは、何気なく使っていることが多いからこそ、自分が被害者になるケースだけでなく、ちょっとしたことで加害者になってしまうこともあります。

特に、リスクや対処法について、犯罪学の力を借りて、みなさんと正しい利用方法について理解を深めていきたいと思います。

■ネットで誹謗中傷する人って?

次のような経験やこんな場面を目撃したことはないですか。

●普段温厚な人が、ネットだと言動が攻撃的になる。
●自分の投稿に知らない人から、突然タメ口の不快なメッセージが届いた。
●タイムラインに回ってきた知らない人の投稿に、「消えろ」や「死ね」のようなふだん使わない言葉を使って書き込んでしまった。
●友人に好意的な返信を送ったつもりが、文章を省略したせいで意図がはっきりと伝わらず、逆に友人を怒らせてしまい、口論になってしまった。

このように、人々が気軽に文字を通して意見交換や情報発信が簡単にできるようになった結果、SNSやネット掲示板ではしばしば互いが感情的になり、ときには攻撃的な言葉を用いてやり取りをしている場面を目撃する機会が増えてきました。

しかし、ネット上で交わされる攻撃的な書き込みの多くは、対面の場面ではあまり使われない言葉です。ここで1つ疑問が生まれてきます。

どうして、顔を合わせている場面だととうてい出てこないような攻撃的な言葉が、オンライン上のコミュニケーションの中ではたびたび見られるのでしょうか。

それを理解しないままでは、インターネットやSNSでうっかりトラブルを起こしてしまうかもしれません。