文章や会話の中では表現し辛い感情を歌にする

――一方、アルバムの発売前に、すでに当人同士で解決していたファンへのリプライ(引用RT)がきっかけで、炎上に近いネガティブな騒動も起きてしまいました(※ファンとのやり取りが有名まとめアカウントに不本意な形でさらされ、You TubeにアップしているMVへのコメント欄も荒れることになった)。

あっこ 私たちが有名になってきたというよりも、自分の発言に説得力があったというか、いろんな人のところに届いてしまうことに関しては、自覚がないわけじゃないんですよ。言いたいことを言ってしまうので。

――歌詞にも表れているような、言葉の強度ですよね。

あっこ 批判された要因として、引用RTで第三者にも見えるように書き込んだのが悪い、という意見がありました。私はSNSをやっているんだったら全員平等やと思っているので、引用RTをされるものやと思って書き込んでいます。だけど、ファンとアーティストの関係性において、どんなファンに対しても優しく対応するべきやという一般論がまだまだ根強いなと思いました。とはいえ、さすがにダルかったですね。楽曲も含めて、私の生き方が「叩かれやすいもの」だと再認識した問題でしたし、私だけやなく、こうやって毎日だれかが対象になって吊し上げられている(いじめ)が起こっているSNSの世界に対しても辟易しました。でも、私の気持ちは私だけのものなので、言いたいことは言いたいです。

――誤解なく発信するのがおとビ~の、あっこさんのスタンスではありますからね。

あっこ 繰り返しになりますけど、私たちは自分の考えをすべての人に納得させたいとか、演説したいとかは思っていないんですよね。文章や会話の中では表現し辛いような、行間が必要な感情を歌にしている。それが私が音楽をやっている意義なんです。一方で、あのときに応援してくれている人たちが声を上げてくれたのは嬉しかったですし、その人たちを大事にしたいと思いましたね。

「炎上騒動を冷静に振り返れない」おとぼけビ~バ~ 行間が必要な感情の歌_1
「炎上騒動を冷静に振り返れない」おとぼけビ~バ~ 行間が必要な感情の歌_2
Photo by 佐伯慎亮
おとぼけビ~バ~のライブは、一時間で30曲を立て続けに演奏。その一糸乱れぬ演奏と変幻自在なボーカルパフォーマンスが魅力となっている。