「確実に死なせるだけでなく、過度に苦しめた」
内藤被告は2025年11月、東京都世田谷区の自宅マンションの浴室で、生後3か月の長女・優愛ちゃんを包丁で切りつけるなどして殺害した罪に問われている。10月21日の初公判では起訴内容を認めたものの、その後の被告人質問では「優愛ちゃんを切りつけたことは覚えていない」と述べていた。
論告求刑公判が開かれた11月5日、東京地裁には開門前から傍聴希望者が列をつくった。用意された傍聴席28席に対し、60人以上が集まった。
この日の内藤被告は、黒のカーディガンに白の襟付きシャツを着用。髪を一つに結び、黒縁のメガネをかけ、額の一部には赤みが見られた。車椅子を押されて入廷すると、落ち着いた様子で検察官の論告に耳を傾けた。
内藤被告が「覚えていない」と語る犯行を、検察側はどう評価したのか。司法担当記者が解説する。
「検察側が殺意の強さを示す事情として挙げたのは、優愛ちゃんに残された67か所の傷だけではありません。内藤被告が犯行前にスマホで『人殺し・赤ちゃん・懲役』などと検索し、元夫に『優愛ちゃんと2人きりで過ごしたい』と伝えていたことや、元夫が帰宅しないよう育児記録アプリに虚偽の記録を残していたことも指摘しています。
弁護側の『睡眠薬の影響で意識がもうろうとしていた』との主張には、頸部などの急所に傷が集中していたと反論。『確実に死なせるだけでなく、優愛ちゃんを過度に苦しめた』『殺意は強固で、極めて残虐な犯行』と糾弾しました。たとえ睡眠薬の影響で記憶がなくなっていたとしても、『利己的な動機は変わらない』という主張です」
検察側は、内藤被告が産後3か月の不安定な時期に元夫との関係に悩み、自身に障害があるため親権を取られると考えていたことは認めた。しかし、娘と離れて暮らすことへの不安があったとしても、犯行を正当化する理由にはならないとした。
「両家の親族を交えた話し合いでは、親権は裁判で争うこととし、どちらが親権を得ても、もう一方の親に会わせることまで決まっていたようです。
内藤被告は『娘の入学式などに参加したかった』『生後3か月で離れ離れになれば、自分は産んだだけになってしまう』という趣旨の供述をしています。しかし、優愛ちゃんは父親のもとで育つ環境も整っていた。検察側は『娘を取られたくない気持ちや、周囲からどう思われるかを優先した、極めて身勝手な動機』と断じました」(同)













