ロケットナウに質問状を送付すると…

被害の申告を受けた段階で、ロケットナウは事件についてどこまで把握していたのか。
また、当該アカウントが停止されるまでの9日間、どのような社内対応が行われたのか。

集英社オンラインはロケットナウ側に対し、今回の事件に関する事実関係と管理体制について質問状を送付した。主な確認事項は、偽造免許証によって登録されたケースの有無、アカウントの不正譲渡を防ぐ仕組み、事件当日の緊急対応、7月14日まで当該アカウントが停止されなかった理由、被害者からの申告に対する社内対応、再発防止策などだ。

実際にA子さんが注文した品物、置き配の指定が書かれていた(A子さん提供)
実際にA子さんが注文した品物、置き配の指定が書かれていた(A子さん提供)

10月9日、ロケットナウに質問状を送付したところ、12日に同社の広報代理を名乗る会社から連絡があった。13日にはメールや電話で「回答を準備している」「明日ご連絡をさせて頂ければと存じます」と説明していたものの、翌14日は連絡が取れず、回答期限までに同社の見解を得ることはできなかった。(※記事公開後、回答がきたので記事末尾に追記する)

配達中に起きた事件について、運営会社はどこまで責任を負うのか。被害者の代理人を務める「久保総合法律事務所」代表の久保潤弥弁護士は、使用者責任が問題になると指摘する。

「会社は配達員に業務を委託してサービスを運営しており、法的には使用者責任が問題になります。ただ、両者は雇用でなく業務委託の関係が一般的なため、責任の有無には議論があり、会社側はおそらく争ってくるでしょう。それでも私は、使用者責任は認められるべきだと考えています」

その理由について、こう続ける。

「業務委託という契約の形式だけで決まるものではなく、実態を見て判断されるものだからです。実際、配達員は会社の専用アプリで仕事を受け、会社の定める規約やルールに従って配達しています。しかも今回の事件は、まさにその配達の最中に起きました」

ただし、今回は容疑者本人が正規に登録された配達員ではなく、他人名義のアカウントを利用していたとされるため、同社との間に民法上の「使用関係」が認められるかについては別途争点となり得る。

久保弁護士は、本人確認の問題にも言及する。

「配達員を使って利益を上げている以上、その配達員の身元や行動を適切に管理すべきなのは当然です。ところが被疑者が使っていたアカウントは、架空の日本人名義で登録されたものとのことで、管理の杜撰さがうかがえます。身元を確認できていない人物を、利用者の玄関先まで行かせていたことになります」

フードデリバリーは、料理を届けるという日常的なサービスだ。しかし、その配達員が登録された本人なのか、利用者には確かめようがない。今回、偽造免許証で作られたとみられるアカウントが転売され、別人によって配達に使われていた。しかも、その配達先で小学生の女児がわいせつ被害に遭った。

配達員の本人確認は十分だったのか。不正利用を防ぐことはできなかったのか。被害者への対応は適切だったのか。検証すべき問題がいくつも残されている。

※10月15日 17時37分「集英社オンラインの質問状への同社からの回答」追記

ーーーーー
この度は、今回の事件により、被害者及びそのご家族に大変なご心配とご負担をおかけしてしまったことを心よりお詫び申し上げるとともに、ご家族への連絡が遅れましたことも深くお詫び申し上げます。

当社では、ご家族に直接お会いしてご懸念やご要望を伺い、そのお声を真摯に受け止めてまいりました。また、この困難な状況にあるご家族に対し、できる限りの支援を行っております。

当社はいかなる不正行為も一切容認しない方針のもと、当該アカウントの名義人に対して厳正な措置を講じました。当該人物については、当社プラットフォームの利用を永久に禁止しております。

当社は、お客様の安全と安心を最優先事項としています。配達員の本人確認を高い水準で実施するため、アカウントを有効化する前に、日本人・外国人を問わず、すべての配達パートナーについて、本人確認、就労資格、および必要な証明書類の確認を行っています。確認プロセスには、公的機関が発行した本人確認書類、在留資格および就労資格(外国籍の場合)、プロフィール写真との照合、銀行口座の確認が含まれます。すべての必要書類の審査・承認が完了した場合にのみ、配達用アカウントを有効化しています。さらに、登録後もアカウントの利用状況を継続的にモニタリングし、不審な行為について調査を行うとともに、必要に応じてアカウントの利用を禁止しています。

当社では、お客様の安全を最大限確保するため、ランダムまたはリスクが検知された際にセルフィー(自撮り写真)による本人確認を行い、配達中に実際に配達を行っている人物が登録された本人であることを確認する本人確認システム(Identity Verification System:IVS)を導入し、登録時および配達中の本人確認プロセスを強化する取り組みを進めています。また、今後は、既存の配達員についても、更新した本人確認要件に基づき、改めて本人確認を実施します。これにより、実際に配達を行う人物が、当該アカウントについて本人確認を受け、正式に利用を認められた人物であることを確認し、他人のアカウントを使用して無断で配達を行うというリスクへの対策を強化してまいります。
ーーーーー

コミルジョノビッチ容疑者が住んでいたアパート(撮影/集英社オンライン)
コミルジョノビッチ容疑者が住んでいたアパート(撮影/集英社オンライン)
すべての画像を見る

※「集英社オンライン」では、今回の記事に関連して宅配トラブルの情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news  

取材・文/中山美里    集英社オンライン編集部ニュース班