都の「言い訳」は…
この報道の翌日、5月28日の都議会都市整備委員会では、共産党の原田あきら議員が、転売禁止などの規定を盛り込まなかった理由を質問した。
都の井川武史市街地整備部長は、駅から徒歩20分という立地や、契約から入居まで長期間を要することなどを挙げ、当初の販売状況をこう説明した。
「供給戸数に対し申込み戸数が下回る状況でございました」
その後、高倍率となって一般世帯が購入しづらくなることを懸念し、事業者に配慮を求めたと説明。対策によって倍率低下などの効果があったとの認識を示した。
当初は売れ行きを懸念し、後に対策も取ったという答弁だ。しかし、購入希望者が増え、大人気の「宝くじ」となった後も転売禁止を採用しなかった理由は、この説明では明確にならない。
さらに同年6月7日のNHK報道で、都は事業の仕組みを理由に挙げた。
晴海フラッグは、民間事業者が建設・販売を担う「特定建築者制度」を採用。都は販売方法や価格には法制度上関与できず、事業者が確実に販売できるよう、転売禁止などの制限を設けなかったと説明した。
ところが、NHKが国土交通省に確認すると、都の販売への関与を禁じる規定はないとの回答だった。
都の説明と国交省の見解には隔たりがある。少なくとも、法律上できなかったという説明だけで、議論が決着する話ではなかった。
そもそも、都が関与する住宅事業には、居住目的の購入を促す先例があった。
2008年に販売された「シティタワー品川」は、東京都が地主となる定期借地権方式のマンション。購入申込者を、自ら居住するために住宅を必要とする人に限定し、法人には販売しない条件を設けていた。さらに、当初5年間の買戻し特約も付けられていた。購入者が契約に反して転売や転貸をしようとすれば、販売者が買い戻せるという形である。
品川と晴海では事業方式が異なり、同じ条件をそのまま適用できたとは断定できない。それでも、先例のような規制を検討したのか、そしてなぜ採用しなかったのかという疑問は残る。
晴海フラッグは都民の財産である都有地を、格安でデベロッパーに売却したという批判もある。それならば少なくとも、投資家ではなく、実際に住む人に売るべきではなかったのか。
「法人に売らない」「申込みを1人1戸に制限する」「数年間の転売・転貸禁止の特約をつける」など、できる対策があったのではという批判が起こるのは当然だろう。
東京都の対策では不十分だったことは明白で、タワー棟では、ついに最高倍率が640倍に達した。











