「正しいことを言えばいいってわけじゃない」
17歳のときに、ロック歌手になろうと故郷の宮城県から単身で上京。頼れる人もほとんどいない中、がむしゃらにもがいて、記録に残る大ヒット曲も世に出した。自分自身、そしてTHE虎舞竜を信じてきた結果だ。
「酸いも甘いも噛み分けて、なんでも知っている俺が、他の人たちが間違った道に行かないように諭していたつもりだった」――そのツケが、こんな形で自分に降り掛かってきたとは。初めて気づいた瞬間だった。
「誰にもあそこまでハッキリ言われたことなんてなかったから、効いたんですよね。子どもに言われると、なぜか素直に受け止められたし、直そうと本気で思えた」
もうひとつ、忘れられない気づきがある。家であれこれ口うるさく言ってしまったあとに、娘がふと漏らした「ちゃんと言ってくれる。そういうとこ、好きだよ」というひと言だ。
「『正しいけど言い方が』っていう指摘と、『そういうとこが好き』っていう肯定。すごく、救われましたね」
まさにアメとムチのような言葉だったと苦笑いするが、
「長年、ヒット曲を持っていることが自分の最大の財産だと思ってきたけど、この2つの言葉はそれと並ぶくらい、今の自分にとって大事なものになりました」
音楽的な刺激というより、高橋が娘から受け取っているのは「生き方」そのものへの気づきだったという。
「正しいことを言えばいいってわけじゃないんだって、この歳になって気づかされました。正しさって、時に人を傷つけるんですよ。それに気づけたのは娘のおかげ。俺の周りにも同じように悩んでる男、いっぱいいますよ。だから『お前も気づけよ』って、いつも布教するように言っているんです(笑)」
当時、自身の言動が「モラハラ」と指摘されたことについて、高橋は現在こう振り返る。
「俺もたしかに最初は理由がわからなかった。でも今になると、よくぞ教えてくれた、って思うんですよね」
時代が違えば許されていたことも、今は違う。それは受け入れなければいけない。いや、「許されていた」と思っていたことは、ただの驕りであって、世間に対する甘えだったのかもしれない――。高橋は腕を組み、うなだれる。その姿は「人はいくつになっても反省することができ、成長することもできる」ということを体現しているかのようだ。
「この前も娘がね、一人暮らしのための部屋を借りるっていうんです。見せてもらったらすごく安い家賃で、角部屋で。なんかあるんじゃないかって、親心としては心配ですよ。でもね、そこで頭ごなしに『ダメだ!』と言ってはいけない。以前の俺だったら絶対認めなかった。でも『うんうん』て、まず聞けるようになったんですよ。娘も大人だしね。娘なりの考えがあるから」













