「バ美肉」同士のカップルがリアルで対面した結果…

──一方、VR風俗店「X-Oasis(クロスオアシス)」は、2025年1月にサービスを終了しています。運営会社は、経営面のノウハウや体制不足などをサービス終了の理由として挙げていますが、どう受け止めていますか?

たいへん残念ですが、簡易的なスマホVRでサービスを行っていたんですが、それでもハードルは高かったんだと思います。ゴーグルをつけてセックスする状態で、臨場感や快感を感じられる人類が、まだそんなにいなかったという点に尽きると思います。

──ねむさんが提唱する2021年の「バーチャルセックス元年」から今年で5年経ちましたが、何が一番変化したのでしょうか?

2021年はVR住人が爆発的に増えて、仮想世界の日常の中でバーチャルセックスに触れる機会のあった人も増えたと思います。そこから5年間で、アバターの姿でのアダルトな活動を合法的に収益化するプラットフォームが作られたことで、配信などで収入源や生業にする人も生まれました。一般の方の目に付く機会も少しずつ増えていると思います。

──AIやVRが急速に進化していく中で、「恋愛」や「セックス」の境界線はどう変わっていくと思いますか?

シンプルに、ハードルは下がっていくと思います。AIの力を借りることで、自分専用のアバターも簡単に作れるようになる。そうなれば、仮想世界が私たちの生きていく世界になっていくと思います。

バーチャル美少女ねむ
バーチャル美少女ねむ
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──近年では、AIを恋愛や結婚の相手として選ぶ方もいますが、今後はVR空間でもそうした関係が増えていくと思いますか?

私は、AIが発展すると、むしろ人間同士のコミュニケーションの価値がより一層高まると思っています。だからAI自体を恋愛の対象にするというよりは、AI技術を使ってもう一人の自分を作るハードルをいかに下げるか、みたいな方向だと思います。

私の関心は、複数の自分を生きることが当たり前になったときに、それぞれの人間関係をどう切り替えるか。私の知り合いの夫婦で、VR空間だったら「相手が誰と交際してもOK」という方がいます。その一方で、「VR空間でも、他の人との交際は浮気」と認定する人もいる。人それぞれですよね。

──そうですね。

私が最近、面白いなと思ったのは、「バ美肉」(現実が男性、VRでは女性)同士のカップルがいて、現実では「夢が壊れる」という理由で会わないと決めていたんですが、何かの機会に直接会ってしまったらしいんです。

現実での見た目は、お互いに好きなタイプではなかったけど、話をしているうちに好意を抱くようになって、現実でも恋人同士になり、同棲を始めたらしいです。2人とも、もともと同性愛者だった訳ではありません。

──それは驚きですね。

そういう事例は複数あるんです。人間って実は、自分や相手の肉体や見た目に左右されているだけで、魂レベルで相性が良ければ、本来はそういう関係になれるんじゃないかなって思うんです。

──もしかしたら、その「バ美肉」同士のカップルも、現実だけで出会っていたら、カップルになっていなかったかもしれませんね。

難しいでしょうね。相手の見た目も性別も一切関係ないコミュニケーションができるって、実はものすごく可能性があることなんじゃないかなって思います。

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取材・文/木下未希