観光客が増えてもキャバクラには流れてこない

客が減る一方で、経営コストは上がる。

2026年1~8月の「物価高倒産」は583件と前年同期比22.4%増。人件費の上昇や人手不足も企業経営を圧迫しており、8月の「人手不足」倒産は同月として過去最多の32件だった。

キャバクラでは酒代や光熱費だけでなく、キャストの人件費も大きな負担になる。

「お酒も光熱費もいろいろ上がっています。でも料金を一気に上げるのは難しいんですよね。セット料金が少し上がっただけでも、お客さんは敏感です。一方で女の子の時給を下げるわけにもいかない。むしろ人を集めるなら、それなりの条件を出さないと来てくれません」

賃金上昇の余波でキャストの人件費の問題も
賃金上昇の余波でキャストの人件費の問題も

全国の観光地ではインバウンド需要が大きな支えになっている。しかし、その恩恵は均等ではない。

東京商工リサーチは2026年の飲食業について、インバウンド需要で有名店や観光地がにぎわう一方、小規模な飲食店では訪日客需要を取り込めず、物価高や人件費上昇に苦しむケースが目立つと指摘している。

キャバクラの場合は、一般的な飲食店以上にハードルがあると男性は話す。

「外国人のお客さんもたまには来ます。でも、居酒屋みたいに観光客が増えればそのまま客数が増える商売ではないですよね。料金の仕組みも説明しないといけないですし、結局は女の子との会話を楽しんでもらう店なので、言葉の問題は大きいです」

もちろん訪日客向けの接客に力を入れる店もある。

ただ、地方の店で外国語を話せるキャストを常に複数確保し、外国人客向けに集客するとなれば、簡単ではない。

「東京とか観光客が多い場所なら、外国人向けのやり方もあるんでしょうけど、地方ではそこに人件費をかけられる店は多くないと思います。近くのホテルに外国人がたくさん泊まっていても、それがうちの売り上げにつながるかというと、ほとんど別の話ですね」

つまり同じ夜の繁華街でも、インバウンドを取り込める地域・店舗と、従来の地元客に依存する店との間で差が開きやすくなっている。