特化すると、なぜ2国全体の生産可能性が広がるのか

比較優位にしたがって分業すると、2国全体の生産量は増えるのだろうか。
数値で確認してみよう。

ポルトガルには340人、イギリスには440人の労働者がいるとする。貿易前には、それぞれの国がワインを2単位、布を2単位ずつ作っていたとしよう。すると、2国全体ではワイン4単位、布4単位が生産されている。

次に、ポルトガルがワインにイギリスが布に完全特化すると考える。ポルトガルでは340人全員がワインを生産するため、340 ÷ 80= 4.25単位のワインを作れる。一方、イギリスでは440人全員が布を生産するので、440÷100= 4.4単位の布を作れる。これらを表で見ていこう(表14-3)。

<『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』P.248>
<『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』P.248>
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比較優位に従って分業すると、ワインも布も、2国全体ではより多く生産できるようになる。これは労働という限られた資源を、相対的に効率のよい用途へ振り向けた結果である。

もちろん、現実の世界では、各国が完全に一つの財だけを作るとは限らない。輸送費、技術、政治、企業の戦略、雇用の問題もある。それでも比較優位説は、国同士が分業して取引することで、全体として生産可能性が広がるという貿易の基本を教えてくれるのである。

文/加藤真也   写真/shutterstock

『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』(かんき出版)
加藤真也
『この1冊でミクロとマクロが同時にわかる経済学』(かんき出版)
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ISBN: 978-4761278830
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