「副検事にハニートラップ説を拡散された」

その後ひかりさんは、北川被告の逮捕前後にB副検事が捜査を妨害し、「ひかりさんがハニートラップを仕掛けた」と被害者情報を検察庁に拡散していたと訴え、こうした行為は犯罪なのに検察はまともに捜査していないとも主張している。現在は大阪第2検察審査会に証拠隠滅や名誉棄損、同教唆などでB副検事と北川被告に対する「起訴相当」の議決をするよう求めている状態だ。その経緯をこう話す。

「北川は逮捕前、私に『被害申告を取り下げろ』と脅してきました。私が検察にそのことを伝えるとBの漏えいを誰かが疑ったようで、最高検がBに北川との通信履歴を見せるよう求めています。

Bが拒否したため検察は携帯電話を差し押さえ、削除されたデータを復元しました。すると北川との不貞関係を示すやり取りや、(北川の)弁護士を通じて捜査情報を漏えいしていたことが発覚したんです」(ひかりさん)

9月1日、会見で涙をぬぐうひかりさん(仮名) 撮影/集英社オンライン
9月1日、会見で涙をぬぐうひかりさん(仮名) 撮影/集英社オンライン

ひかりさんはこれらの情報を、元同僚らから聞いたとしている。いっぽう検察庁は復元されたデータから不貞関係を示すものが見つかったと明らかにしたことはない。

ただ検察は、B副検事が2024年5月下旬以降、北川被告側の弁護士に自分が聴取されたことを伝え、自分のスマホにあった北川被告や弁護士との通信履歴を削除したことは確認しており、これを理由の一つとして2025年3月にB副検事を戒告処分にしている。

また、ひかりさんは「私は北川事件(性被害)だけだったら辞職しないわけですよ。でも復職しようとしていた時にBが私の氏名や誹謗中傷を拡散したから検察が私をつぶしたわけです」と話し、B検事の行動が復職を阻んだと告発する。同僚の協力などを根拠にひかりさんが説明を続ける。

「Bは北川の逮捕前、最高検に、私が北川に好意を抱いていて飲み会の席で『チューして』などと性的な発言をしていたなどとする虚偽の“ハニートラップ説”を供述しています。

さらに、私が被害者であることは性犯罪の被害者保護システムに基づき、検察内部でも秘密にされ北川の捜査担当者以外知りえなかったのに、逮捕直後からBは北川と親しい検察幹部やOBらに私の名前やハニートラップ説を口止めもせずに拡散しました」

これも、検察庁がすべてを明らかにしているわけではないが、B副検事の戒告処分理由には「大阪地検内で被害者について詮索しないように全職員に注意喚起されていたにもかかわらず(Bは)令和6年(2024年)6月下旬から9月下旬にかけ大阪地検の職員等複数名に対して、それぞれ別の機会に被害者(ひかりさん)の氏名等を伝達した」と書かれており、少なくとも被害者名の拡散は認定している。

さらに、会見に同席した元検察官のひかりさんの弁護人・田中嘉寿子弁護士は当時、検察庁から派遣されたオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で勤務していたが、最高検幹部の1人が北川被告の逮捕直後、

〈元々はV(被害者の意味)のかたが北川さんのことをものすごく慕っていて、ラブラブと言い、懇親会のセッティングを積極的にしてもらった経緯があるようです〉

とのメールを送ってきたと公表。「ひかりさんが誘った」との認識が検察庁内で広がっていたことをうかがわせている。