着用ミスさえも魅力に映るえなこの凄み
こだわりが深くなればなるほど、自分の基準を他人にも求めたくなる。しかも彼女自身は、決して「こだわらない人」ではない。
過去のインタビューでは、キャラクターのイメージを壊さないことや、作品・キャラクターを尊重する姿勢を語っている。つまり、自分自身には高い基準を課しながら、それを他人にまで強制しないのである。
そこが重要だ。「自由だから適当でいい」ではない。自分は自分なりに徹底的にこだわる。しかし、別の人には別の楽しみ方があることも認める。
えなこはコスプレを入口に、グラビア、テレビ、YouTubeなど活動領域を広げてきた。2021年には1カ月で15誌の表紙を飾る“表紙ジャック”も実現。現在の所属事務所も、えなこを筆頭に複数のコスプレイヤーやインフルエンサーを抱えている。
趣味文化として発展してきたコスプレを、雑誌グラビアやテレビ、広告など、より広いエンターテインメント市場につないだ象徴的な存在のひとりと言えるだろう。その分、「もはやコスプレイヤーではない」と見る人が現れることも、本人は理解している。
今回の投稿でも、そう考える人を否定しないとしたうえで、それでも「それぞれが自分の好きな形でコスプレを楽しめる世界」であってほしいとの思いを示した。
17年間活動を続け、コスプレイヤーとして大きな成功を収めながらも、それでも自分のやり方を“唯一の正解”にしない。むしろ、後から入ってくる人たちの自由を認める。えなこの本当の凄さは、そこにあるのかもしれない。
パンツを前後逆に履いたまま写真集にしてしまったハプニングも、どこか象徴的だ。
「正しい形」から外れてしまっても、それが魅力的なら作品になる。
完璧でなくてもいい。決められた型にはまらなくてもいい。もちろん本人にとっては単なる着用ミスだっただろう。だが、17年間コスプレを続けてきたえなこが語った「自分の好きな形で楽しめる世界」という言葉と重ねると、偶然にも妙に彼女らしいエピソードに見えてくるのである。
文/集英社オンライン編集部













