法改正で義務化された国内連絡先登記の抜け穴

2024年4月の不動産登記法改正により、海外在住者が日本の不動産を購入する際には、国内の連絡先(連絡可能な人物または法人の名称・住所)の提出が必須となりました。これは、所有者不明問題への対応として導入されたルールです。

にもかかわらず、今回の自著での登記簿調査では、改正法が施行された後の2024年4月以降に外国住所の者が取得した東京千代田区と大阪市西区のA~Dのマンションにおいて、3戸に1戸で「国内連絡先:なし」と登記されていることが確認されました。

大阪市西区の靱公園周辺(写真/PhotoAC)
大阪市西区の靱公園周辺(写真/PhotoAC)
すべての画像を見る

なぜこうしたことが起きるのでしょうか。それは国内に連絡先がない場合、「国内における連絡先がない」という上申書を提出すれば登記できることとなっているからです。もともと売買による所有権移転の登記自体が「義務ではない」という制度的な制約があり、強制力を持たせることには法的な難しさがあるのです。

もし国内連絡先がない場合は登記を認めないとすると、登記そのものがなされず、かえって所有者不明化を招くといった事態も想定されるため、このような運用となっているのです。そのため、法改正後もなお、将来的には外国在住者が所有する不動産の増加に伴って、連絡先不明となりうる所有者が一定数生まれ続けてしまうことが懸念されます。

不動産登記法の改正は、「所有者の所在が分からない問題」への対応を目的としていましたが、国内連絡先の提供が義務化されたとはいえ、現状では十分に機能しているとは言いがたい面があります。

とはいえ、外国居住の購入者が増え続けている現状を踏まえると、例えば、国内連絡先の登記がない場合には、不動産の登録免許税の負担を重くするなど、税制との連携を通じて、より実効性のある形に制度を見直していくことも考えられます。

外国人の不動産取得をめぐる議論が社会的な関心を集めていますが、その内訳をみてみると、外国に住む個人・法人、日本居住の外国人、国内に所在する外資系法人など、「外国人」として一括りにできない多様な形態があります。感情的・政治的な議論ではなく、客観的なデータに基づく冷静な実態把握が急務となっています。