「休憩はサボりではない」だけでは解決しない
23区内のある区の担当者は、現場に寄せられる声についてこう明かす。
「ごみ収集の現場からは『日陰で休んでいるとサボっているように見られる』『収集が遅い』といった苦情やご指摘を受けるケースがある。
そうした市民からの誤解を防ぐため、区の公式ホームページ等において『作業中に直射日光を避けて日陰で休憩することがあるため、熱中症予防のためご理解ください』といった趣旨の周知・発信を行っております」
このように、作業員の休憩や水分補給への理解を求める自治体がある一方、行政の発信と現場の実際の運用にずれが生じた例もある。
東京都東久留米市は、ごみ収集の事業者から「熱中症対策として休憩を取ることへの理解を市民に呼びかけてほしい」と相談を受け、市ホームページに理解を求めるお知らせを掲載した。
しかし、その後、委託事業者から「実際の運用と異なる内容がある」と指摘があり、掲載内容を見直し、市は、お知らせを取り下げた。
ごみ対策課業務係の担当者はこう説明する。
「お知らせに『作業員がコンビニエンスストアで停車して休憩する場合がある』と記載しました。しかし実態としては、収集車用の駐車場やエアコン付きの休憩室がある中間処理施設へ戻って休憩を取っており、コンビニで休憩する運用にはなっていなかったのです」
市はサングラスの着用についても、熱中症対策の一例として紹介していたが、実際にはほとんど着用しておらず、作業上の懸念もあるとの意見が寄せられたという。
都内のごみ収集事業の関係者は、今回の行き違いについて私見をいう。
「市民からの『サボり』『悪印象』というクレームを完璧に防ぐため、現場事業者がコンビニ利用やサングラス着用を自粛するような形で控えて拠点へ戻る運用を徹底していたことで、市側の配慮が結果として現場の実情と乖離してしまった格好だと思います」
ごみ収集員がこまめに水分を補給し、必要に応じて日陰や車内で体を休めることは、熱中症を防ぎ、ごみ収集を続けるために欠かせない。
必要なのは、「休憩はサボりではない」と市民に理解を求めることだけではない。作業員が周囲の目を気にせず休める場所や運用を整え、その実態を行政、事業者、市民の間で正確に共有することだ。
猛暑が日常化するなか、働き続けるためにきちんと休める仕組みが、これまで以上に求められている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













