休憩環境の整備が進む一方、「サボり」と誤解されることへの不安も

こうした課題に対応するため、自治体では、休憩場所の確保や装備の充実など、さまざまな熱中症対策が進められている。

環境省が2024年9月に公表した「ごみ処理作業時等における熱中症対策事例集」は、全国の自治体における熱中症対策の実態をまとめたものだ。

それによると、冷房設備や日陰など涼しい休憩場所を確保している自治体は9割に上る一方、収集ルートの途中で必要に応じて公共施設などを休憩場所として確保している自治体は約2割にとどまった。収集作業の途中に気軽に立ち寄れる休憩場所は、まだ十分に整っているとは言いがたい。

同事例集では、匿名の「F市」が収集車ごとに公共トイレマップを備え付けている事例も紹介されている。コンビニエンスストアなどのトイレを利用すると、収集員が「勤務中に買い物をしている」と市民から誤解され、そのことを気にして水分補給をためらう可能性があるためだという。

「サボり」と誤解されるのを恐れ、コンビニのトイレ利用が難しいケースも(写真/PhotoAC)
「サボり」と誤解されるのを恐れ、コンビニのトイレ利用が難しいケースも(写真/PhotoAC)

また、東京都大田区では昨年度(令和7年度)から、ごみ収集作業員を対象に空調服(ファン付き作業着)の導入を始めた。

区のごみ減量推進課の担当者は、その経緯をこう説明する。

「例年一定数の職員が体調を崩しておりましたし、何より現場の作業員側から『熱中症対策を講じてほしい』という強い要望がありました。建設現場などでも普及している空調服をごみ収集の現場にも導入することを決め、東京都の補助金を活用して本体やバッテリーを整備しました」

導入前には、「ごみの臭いが服の中にこもるのではないか」と懸念する職員もいたというが、運用を始めると、臭いに関する懸念は大きな問題にはならなかった一方、着用感や効果については職員の間で評価が分かれた。

外気の熱風が服の中を循環することに違和感を覚える職員がいる一方、収集場所から次の集積所へ向かう車内ではエアコンの冷気が空調服の中を巡り、「体感がかなり違う」「体の熱がこもりにくい」と効果を実感する声も上がった。今年度は希望者への追加配布も進められている。

空調作業着のイメージ(写真/PhotoAC)
空調作業着のイメージ(写真/PhotoAC)

また大田区では、深部体温の上昇を検知してアラームで知らせるウェアラブル端末を導入したほか、区内の福祉施設や出張所を「クールスポット」に指定。

体調がすぐれない場合には途中で立ち寄って休める体制も整えている。こうした取り組みもあり、大田区では今年度の猛暑による体調不良者を4~5件程度に抑えられているという。