「このまま山で一晩過ごせば死ぬかもしれない」
雷に打たれたのは太田さんだけではない。ともに登っていた4人も、山頂の岩場に倒れ込んだ。
「20分ほどすると、僕を含めた4人は立てるようになりました。ただ、1人だけなかなか立ち上がれなかったんです。もしこのまま歩けなければ、彼は今後、車椅子で生活することになるのではないか。その場合、僕らも一生、責任を負わなければならないのではないかと、本気で考えました。
その時点で、時間は夕方に差しかかっていました。誰かが助けを呼びに行くのか、それとも全員で山に残るのか。僕らは全身びしょ濡れで、十分な着替えも持っていませんでした。このまま山で一晩過ごせば、全員が低体温症で死んでしまうのではないかという恐怖もありました」
そうした最悪の事態が頭をよぎるなか、さらに5~10分ほど経つと、最後まで動けなかった1人も、ようやく立ち上がれるまでに回復した。しかし、その後も激しい雷雨が続いていたため、5人は天候が落ち着くまで約30分間その場にとどまった。自力で下山を始めたのは、落雷から約1時間後だった。
「全身の感覚が戻ると、今度はひどい筋肉痛のような痛みが出てきました。身体に電撃を受けた影響なのか、倒れたときに身体を打ったからなのかは分かりません。ただ、全身が痛く、思うようには動けませんでした。もともと難しい登山ルートで、足元も悪くなっていたので、下山するまでは本当に怖かったです」
下山後、医療機関を受診したのは5人のうち1人だけだった。太田さんを含むほかの4人は受診せず、体調の経過を見たという。
「結果的に、大きなケガや後遺症はありませんでした。ただ、全員が無事に下山できたのは、本当に運がよかったとしか言いようがありません」
※落雷による電撃を受けた可能性がある場合、心臓や神経、聴覚などに異常が生じていることがあるため、一般には救助を要請し、医療機関で評価を受けることが推奨されます。













