回収も放流も難しい、余った金魚の実態

しかし、祭りの後に残った金魚を販売元が引き取ることは可能なのか。

関西圏で約30年にわたり金魚を扱う業者のBさん(50代)は、かつて20~30軒の業者に金魚を卸していたが、コロナ禍以降、取引先が減少し、卸売をやめて店先で金魚すくいを行なっているという。Bさんは、販売元による回収の実情をこう説明する。

「金魚すくいの金魚は、お祭りのゲームで使う魚として、一つの袋に数百匹、多いときには千匹ほど詰めて出荷されます。あくまでも『ゲーム用の魚なので、その後の保証はありません』という扱いです。

高級な観賞魚のように1匹ずつ丁寧に扱われるわけではないため、輸送や環境の変化によるストレスで弱ってしまうことも少なくないです。もちろん、丁寧に管理されているところもありますけどね。よほど飼育設備が整い、専門的に管理できるところでなければ、販売元が回収するのは難しいと思います」

筆者が訪ねた夏祭りはどこも盛況だった
筆者が訪ねた夏祭りはどこも盛況だった

Bさんは、残った金魚の行方について、かつて耳にした事例を挙げた。

「一昔前までは、余った金魚を川に放流していたという話を聞いたことがあります。金魚は、もともとフナ類を祖先とし、中国で突然変異を持つ個体の選抜や交配を重ねて品種化された魚です。仮に川や池で生き延びて住み着いて、仮に繁殖した場合、野生環境に適応しやすい特徴を持つ個体が残る可能性はあります。ただ、自然界に放された金魚は、ザリガニやカメなどに捕食されるリスクも高く、ほかの生き物の餌になってしまう個体も多いでしょう」(Bさん)

もっとも、余った金魚を川や池へ放してよいわけではない。金魚の放流を全国一律に禁じる法律はないものの、環境省は生態系への影響を防ぐため、飼育している魚を自然界に放さないよう呼びかけている。自治体や施設によっては、条例や管理規則で禁止されている場合もある。