59%が「AIを使ったことを伝えていない」
会社の研修で「プロンプトとは、AIに与える指示文です」と教わった人より、競馬で何度も外した人のほうが、AIの性格をよく理解していることだってある。
そんなことを言うと、「企業ではまだ生成AIが普及していないのだろう」と思われるかもしれない。ところが、実態は少し違う。会社が把握していないだけで、社員はもう使っている。
インターグが2025年11月、全国の20代、30代の社会人535人を対象に実施した調査では、39%が仕事で週1回以上、生成AIを使っていた。さらに、生成AIで作った成果物を提出・報告するとき、59%が「AIを使ったことを伝えていない」と答えた。
一方、生成AIに関する教育を会社が十分に提供している、または提供していると答えた人は27%にとどまる。社員は使い始めているのに、会社の教育とルール作りは追いついていないわけだ。
別の国内調査でも、業務でAIを使っている人のうち過半数が、上司や同僚に利用を隠した経験があると答えている。20代では、その割合が63.1%に達した。どうして隠すのか。
これは一つの理由に断定できる話ではない。ここからは、私が企業の現場で話を聞いてきた経験を踏まえた推測である。
AIを使ったことを会社に隠す理由
AIを使ったと明かせば、「何に使ったのか」と聞かれる。業務以外のことにも使っていたのではないかと疑われる。入力した内容まで会社に知られるかもしれない。
さらに、AIがもっともらしいウソをつく、いわゆるハルシネーションが交じっていたら、「なぜ確認しなかったんだ」と詰められる。つまり、AIを使ったことを申告しても、得をする場面があまりないのだ。
仕事が早くなったと評価される保証はない。むしろ、使い方を細かく聞かれ、間違いがあれば責任を負わされ、私用まで疑われるかもしれない。それなら、AIを使ったことは黙っておき、完成した成果物だけ出したほうが安全だ。
なんとも窮屈な話だが、社員の側から見れば、それなりに合理的な判断でもある。これは日本人だけの話ではない。
WalkMeが2025年7月、米国のAIを利用する就業者1000人を対象に調査したところ、78%が勤務先に承認されていないAIツールを使ったと答えた。
49%は、評価が下がるのを避けるため「AIを使っていない」と偽って伝えた経験がある。Z世代では62%に上った。













