憧れのスターも圧倒した“神童”マイケル
1969年12月、米人気番組『エド・サリヴァン・ショー』に初めて出演したジャクソン5は、モータウンでのデビュー・シングル『帰ってほしいの(I Want You Back)』と、そのB面だったスモーキー・ロビンソンとミラクルズの『フーズ・ラヴィン・ユー』、そしてスライ&ファミリー・ストーンの『スタンド!』の3曲を歌った。
『フーズ・ラヴィン・ユー』は、前年の1968年7月に行なわれたモータウンのオーディション時にも披露していたが、生きることの哀しみを感じさせる大人の歌だった。
マイケルはオーディションでこの歌を歌ったときのことを、自伝でこのように書いている。
でもその曲が終わっても、誰も拍手をしてくれなかったし、何も言ってくれませんでした。どういうことなのか知りたくて、僕は思わず叫んだのです。「どうだった?」
しかし、大人たちは笑みを見せるだけでマイケルは納得のいく答えを得ることはできず、混乱したまま帰路につくのだった。
モータウンの創始者だったベリー・ゴーディは、そのときの心境についてのちにこのように語っている。
その歌声には、長い苦悩と悲哀の人生を生き抜いてきた男のもつ、悲しさと情熱が感じられた。たかが子供なのに…、信じられない ! スモーキー本人がどんなにうまく歌ったとしても、目の前のマイケルにはかなわなかっただろう。
マイケルは大人の歌を完璧に歌いこなしたことで、拍手も忘れさせてしまうほどに大人たちを驚かせていたのだ。
スモーキー・ロビンソンは作詞・作曲・プロデュースの面でベリー・ゴーディの片腕としてモータウンを支えて活躍し、会社経営にまで力を発揮していた。
しかし、マイケルにとってはザ・ミラクルズのリーダーであり、憧れのスターだった。初めて握手をしたときには、「王様と握手しているみたい」だったという。
そのスモーキーまでもを圧倒してしまったことからも、マイケルの歌唱力がいかに桁外れだったかが伺える。
マイケル・ジャクソンは幼くして、モータウンの新しいシンボルになっていくのだった。













