「第三者に対して、絶対バレてはいけない」

――石井さんの会社は2004年に開業されましたが、始めたきっかけは?

石井裕一(以下、同)
 この事業を立ち上げたのは、もともとは『mixi』で繋がったシングルマザーで困っている方に、私個人としてレンタルお父さんの活動を始めたのがきっかけでした。

サービスを立ち上げたものの最初の頃は、やっぱり「やばい人じゃないか?」と思われることも多くてあまり受け入れられなかったのですが、その後に自社サイトを立ち上げて、ビジネスとして運営できるようになりました。

近年メディアに取り上げてもらうことも多いので、ありがたいことに依頼件数は年々増えているんですよ。

自分1人から始めたサービスですが、弊社では「レンタルフレンド」「レンタル恋人」「レンタルお母さん」といった派生サービスもあり、現在は全国各地に総勢5000人以上のスタッフが在籍しています。

ファミリーロマンス代表の石井氏による、「人間レンタル」の現場体験をまとめた書籍も(写真/ファミリーロマンス提供)
ファミリーロマンス代表の石井氏による、「人間レンタル」の現場体験をまとめた書籍も(写真/ファミリーロマンス提供)
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――5000人とはすごいスタッフ数ですね。起業のきっかけとなった「レンタルお父さん」とはどのようなサービスなのでしょうか?

たとえば結婚前の両家の挨拶や結婚式への参加、正月の親族の集まりなどでご依頼されるケースは多いです。

ほかにも、若い女性の依頼人で、「お父さんはすごくイケメン」と彼氏にしゃべってしまって本物の父親がいるのにレンタルしたという方や、父親がいない女性が自分の誕生日にレンタルお父さんにバラの花束を持ってバイト先まで来てもらいたいとか、そういうライトなご依頼もありますね。

お父さんがいなかったり、実の父親を嫌っていたりする20~30代の依頼人だと、父親とのコミュニケーションを味わってみたいという理由でサービスを利用してくださるんですが、あえて毎回レンタルするスタッフを替えるという依頼人もいますね。

いろいろなタイプの父親像を味わってみたいということだと思います。

バイト先へ花束を持ってサプライズ登場する依頼イメージ(写真/ファミリーロマンス提供)
バイト先へ花束を持ってサプライズ登場する依頼イメージ(写真/ファミリーロマンス提供)

――依頼人の要望にぴったりハマるスタッフを派遣するのも簡単ではなさそうですね。

そうですね。依頼が入ると、まずは依頼人からの要望に当てはまりそうなスタッフをご案内します。

日程の調整がついたら担当スタッフに依頼内容を伝えるというのがおおまかな流れになりますが、重要なのは「誰に対してお父さんを演じるのか」ということ。

たとえば、依頼人の子どもには「本当のお父さんとして対応してほしい」と言われることがあります。もちろん依頼人ご自身の利用であればその人だけに演じればいいけれど、第三者に対しても演じる場合は“絶対にバレてはいけない”んです。