この記事は2021年4月14日に書かれたものです。

後進国に転落する日本

菅政権が発足してから7か月が経過した。菅政権の特徴をひと言にまとめると、「新しいことを何もしない」ということだ。

新型コロナへの対応を見れば、それは明らかだ。安倍政権のときは、小中学校などの一斉休校や星野源さんと総理のコラボ動画、アベノマスクなど、明らかに間違った政策を打った。

しかし、「何かをしなければならない」という危機感の下、それまでなら考えられなかった思い切った対策も講じていた。

例えば、一律10万円の特別定額給付金や中小企業に対する最大200万円の持続化給付金に関しては、国民生活や企業活動を支えるために大きな効果を持ったと私は考えている。しかし、菅政権になって、そうした政策は一切行われていない。やったのは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による飲食店を中心とする自粛だけだ。

4月12日から東京など3都府県へのまん延防止等重点措置が始まったが、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストによると、すでに重点措置が適用されている大阪など3府県の影響を加えると、まん延防止等重点措置による経済損失は5540億円にのぼるという。

もちろんこれは、重点措置が1か月で終わると仮定した場合の数字だ。何もしない菅政権は、東京オリンピックの中止を絶対にしないだろうから、緊急事態宣言への発展も含めて、自粛は2か月以上に及ぶだろう。日本経済は三番底に向かうのだ。

一方のアメリカはどうか。バイデン政権は、200兆円に及ぶ経済対策のなかで、国民一人あたり最大15万円の現金給付を決めた。さらに巨額のインフラ投資も決めている。財源も明確だ。

バイデン元大統領 (写真/Shutterstock)
バイデン元大統領 (写真/Shutterstock)
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バイデン大統領は、トランプ前政権が21%に引き下げた連邦法人税の税率を28%に引き上げる他、大企業を対象に会計上の利益に最低15%を課税する仕組みを導入することを決めた。もちろん、これが実施できるかどうかは、分からない。実際、バイデン大統領が打ち出した連邦最低賃金を時給1600円に引き上げる政策は、身内からも反対が出て実現できなかった。ただ、やろうとしている政策の方向性や理念は、明確だ。

そして、4割以上の国民に1回目のワクチン接種を終えたアメリカでは、新型コロナの収束が見えつつあり、コロナ下で蓄積された貯蓄に15万円の現金給付が加わって、夏には爆発的な消費拡大が生まれ、経済は大きく成長すると見られている。

一方で日本のワクチン接種はいまだ1%にも届いていない。全国民へのワクチン接種が完了するのは、年内でも難しい状況だ。そして、日本では現金給付もない。こんなことをしていたら、ずるずると経済が転落していくことは明らかだ。日本だけが転落していくのだ。

それは、いまに始まったことではない。OECDが発表している年収ランキングで、日本は34か国中24位で、19位の韓国を下回っている。日本よりも下なのは、ポーランド、エストニア、チェコといった国々だけだ。

かつて日本の賃金水準はG7トップだった。それがなぜG7最下位に転落したのか。最大の理由は、官僚や大企業経営者の「保身」だと私は考えている。

日本で新型コロナの収束が一向に進まない理由を考えると、分かりやすい。日本政府が承認したワクチンは、いまのところファイザー社製だけで、アストラゼネカ社製のワクチンは、国内製造が始まっているものの、承認が出ないので接種ができない。モデルナ製のワクチンも承認が出ていない。

国産ワクチンの場合は、もっとひどい。昨年3月に私が読売テレビの「情報ライブミヤネ屋」に出演したときのゲストが、大阪大学の森下竜一寄附講座教授だった。そのとき森下教授は、新型コロナに対するDNAワクチンのサンプルがすでにできていると言った。

世界をリードするタイミングでワクチンができていたのだ。私は、実験台になるから、その場で私に打って欲しいと頼んだのだが、持ち合わせがないとのことで断られてしまった。

それから1年以上が経過して、このDNAワクチンは、ようやく第二段階の治験を終え、その結果を解析しているところだ。これから第三段階の大規模治験が待っているから、承認はまだまだ先だ。