「ただ本を読むだけ」でもOK
しかし実際のところ、これまでの研究では、これらの「テクニック」と「ただ本を読む」のどちらが読書習慣の形成に効果的なのかを分離できていません。
むしろ、「ただ本を読む」だけでも読書へのポジティブな態度を育てる効果があるようです。
小学校〜高校で、それぞれの児童や生徒が好きな本を「ただ読む」ことを、1日に10〜15分行う介入研究を、メタ分析(多数の研究を再分析することで、より信頼できる結果を提供する分析法)した研究があります*3。
その結果、語の発音の正しさや読書スピードの向上に加えて、読書へのポジティブな態度が高まったことが明らかになりました。
読書へのポジティブな態度が高まったわけですから、介入によって読書習慣をつくることに成功した児童・生徒もいたことでしょう。
1日に10〜15分「ただ読む」ことを行うというのは、日本でいうところの「朝の読書」の効果に近く、とても興味深い研究結果です。
何が述べたいのかといいますと、
●読書習慣をつくるためには、結局は地道に「子どもが本を読む回数を増やす」ことが有効
ということです。
こうした「王道」が効果を持つことは、先ほど紹介したようなエビデンスが十分にあり、自信を持って言い切ることができます。
誤解しないでほしいのですが、「テクニック」が重要でないわけではありません。なぜなら、これらの要素は、「楽しい読書」をする前提を整えることに寄与するものだからです。
関心のある本を選び、教師の助けも借りながらしっかり理解し、その本を通じて社会的コミュニケーションも促されるならば、「楽しい読書」になりやすいことは想像できますよね。反対に、関心がなくて理解できない本を読まされれば、誰でも読書が嫌になるはずです。
楽しい読書ができる子どもは、長く、多く、読書をすることでしょう。
その結果が「読書習慣」となるわけです。
言い換えれば、「親が子どもの読書習慣をつくる」とは、「子どもが楽しい読書ができるように、親ができる範囲で条件を整えてあげる」ことなのです。
子どもの楽しい読書のために、頑張って工夫をしていきましょう。













