パンダの経済効果はWBC優勝超え?
全身全霊で浜家を応援していた神戸さん。返還を知ったときは「頭が真っ白になった」と話す。
「返還は覆らないことなので、そのときは呆然としながらも急いで飛行機やホテルなどの手配をしました。浜家の最終公開日は仕事で行けなかったのですが、その2~3日前はなんとか足を運ぶことができました。パンダたちはいつも通りに寝て、食べて、のんびり過ごしていましたよ。
返還当日は取材でアドベンチャーワールドに行ったのですが、もう園内にパンダはいなくて。がらりとした飼育場を見たら、心にぽっかり穴が空いたような気分になりました」
神戸さんは寂しげな表情を浮かべながら、近況を語る。
「あの日以来、白浜には行っていません。空っぽな飼育場を見るのは、やっぱり辛いんです。一方、上野動物園は、もともと近所なので毎日のように通っていて、シャオシャオとレイレイも浜家と同じくらい大好きです。でも、シャオレイも返還期限が近づいていて……。パンダ通いをしない生活は、あまり想像がつかないですね」
パンダ以外の推し活を始める気はないのか尋ねると、神戸さんはキッパリ「ありません」と答えた。
「推しはあえて探すものではなく、いきなり沼に落ちるものだと思っています。パンダ以外にも趣味はありますし、浜家も上野ファミリーも消えてしまったわけではなく、パン活もやめる予定はありません。
一説によると、パンダはWBC優勝超えの経済効果をもたらすそうです。園だけではなく、まわりの飲食店や、地域全体に潤いを与えてくれます。それだけ、パンダは人を引き付けてやまない魅力にあふれているのです」
日本経済と、多くのファンの人生を支えてきた浜家。アドベンチャーワールドに、もう一度パンダの家族が戻ってきてくれることを願うばかりだ。
取材・文/渡辺ありさ













