「令和のコメ騒動」は良かったのか、悪かったのか?

コメ農家にとって、「令和の米騒動」は結果的に良かったのか、それとも悪かったのか。

「難しい質問ですが、われわれ農家にとっては『米騒動』のおかげで利益が出せたというのは事実です。『コメの値段が下がってくるまでは頑張ってみようかな』というコメ農家も増えて、跡継ぎの目処がついたという声もよく聞くようになりました。

でも、これまでのように『どこまで農家が耐えられるか』みたいな価格に戻ったら、また離農者が増え、コメの価格も上がるという悪循環に陥るでしょう。

『令和の米騒動』はそこに水不足や高温障害やインバウンド需要など色々な要素がからみ、価格が暴騰したという感じですね。(60キロ)3万円は私たちから見ても高いですから、私たちの願いとしては2万4000円~2万5000円くらいで継続していってくれることです。2万円だと収入は0になります。コメだけはあるので食べていくことはできるんですけどね」

今年6月に取材した際の岡田さん(撮影/集英社オンライン)
今年6月に取材した際の岡田さん(撮影/集英社オンライン)

岡田さんの農園も今年は利益が出て、古くなった農機具を一新させるなど設備投資もできた。

「正式な数字は出してないけど、高給取りのサラリーマンくらいの年収の感覚は味わえました。2021年にコメの価格が暴落して、『赤字だ。もう辞める』と離農者が本当にたくさん出ました。今年ようやく価格高騰による恩恵を受けられましたが、一番利益が出たのは個人の農家だと思いますよ。

規模が大きい農家は金額では利益が大きいように見えても、もともとの契約があって大幅に価格を上げることができなかったり、設備投資などもありますから。

なので利益率は小規模農家の方が良かったと思うし、ある意味『令和の米騒動』は農家にとっていい刺激になりましたね。若い方もコメ農家に目を向けるようになったし、小規模農家でもさらに田んぼを増やしたいという人も増えるきっかけになったと思いますから」

図らずも、コメ農家にとってはひと息つくきっかけにはなった「令和の米騒動」。食料自給率を高め、主食の安定供給に資するための努力を農家だけに強いるのはお門違いだ。少なくとも備蓄米の取り扱いを、早急に見直す必要があるという現場の意見を、高市政権はどう受け止めるのか。

高市早苗首相(首相官邸Xより)
高市早苗首相(首相官邸Xより)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班