「クマを絶滅させるべき」と発言する維新議員の真意
クマによる人的被害が多発し、それに比例するかのようにSNS上でも、<クマを絶滅させろ>などの意見も散見される。
なかでも日本維新の会の国立市市議会議員・中川貴大氏(32)は10月28日に次のように自身のXに投稿した。
<今すぐクマを絶滅させるべきです。私もそのための行動を始めています>
さらに30日には、
<私の発言を失言とする者も多少はいますが、私は失言ではなく名言だったと思っています>
と言及している。
これらの投稿の背景について中川市議は、集英社オンラインの取材にこう答えた。
「投稿の通り、人里付近に生息するクマはすべて駆除したほうがいいと考えています。人を襲うようになったクマが市街地に出たら手遅れなわけです。箱罠を設置したからといってクマが必ず捕獲されるわけではありませんから。
もっと積極的に近くの山に入って、管理や飼育ができていないクマを銃などで駆除すべきです。管理はクマの生息数の把握ができていることであって、飼育は動物園などで飼われているクマのことです」
投稿の背景には中川市議が北海道で生まれ育ったことが色濃く関係しているという。
「クマについての興味関心は、もともとありました。現在は東京都国立市で市議をしており、近くの多摩エリアでも出没するようになりましたから。全国的にクマによる被害数も増加しており、対応は早急に進めていかなければと思い、こういった投稿をしました」
とはいえ、駆除や絶滅となると、その地域の生態系を壊す可能性があるほか、現行法ではそもそも実行できず法改正が必要となってくる。
「全国のその種のクマを絶滅させるわけではありませんから。人里の近隣区域の熊を絶滅させたからといって、他の地域では生息してるわけですし、国外にもいるわけです。そのため、(生態系を)バックアップできるはずです。
法改正については、党内を越えて議論をしていく必要があり、この投稿をしてから他党の議員さんだったり、秘書さんだったりから多くのご連絡をいただいている次第であります」
秋田県庁は「クマを絶滅させろ」といった“過激な声”に対して、
「クマと私たちはずっと身近にいました。どこの県もそうですが、秋田県も共生を目指すといった大きな柱があります。人間とクマの住むところと、人間の生活の場をきちんと分けていこう。クマの駆除について、まずそこが大前提なんです。
そのうえで、時代の変化でクマが市街地に出てきてしまったときには、やっぱりやむを得ず、県民の命を守るために駆除をする。この二本立てなんですよね。中長期的には“共生”を目指していく。でも短期的・中期的には“守るための行動”を取らなきゃいけない。
そういう話はずっとしてるんですけど、なかなかね、一方的に自分の考えだけをもっている方々も多くて、いくら説明しても聞き入れてもらえないんですよね」
と肩を落とす。最後に、
「私たちのほかにも動物はこの地球上に生きているわけで、クマもその一つ。クマがいることで、その地域の生態系が守られてもいる。ただ、人にも影響を及ぼしかねないから、影響の出ない範囲で個体数が定められていて、その上限分を駆除しているわけです」
と解説した。
「クマを殺すな」と「クマを絶滅させろ」、その間にある適切な「共生」を人類は探っていくべきだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













