新庄監督がインスタグラムで書いていたこと

新庄監督は自身のインスタグラムで、こんなことを述べている。

「9回投げれるんだというメンタルの慣れ 疲労に耐えれる肩 体力 後は3人の投手が2回完投してくれさえすれば、負けず嫌いの人間が多いこの世界 次は俺がやったる その気持ちが四球を出さない ゴロを打たせてダブルプレーを取り球数を減らさないと完投できない意識が高まり完投人数が増えて行く」(原文ママ)

こう説明したうえで、次のように続ける。

「僕が日本のプロ野球を変えていきたいと言った1つに先発投手は最後までカッコよく投げて試合を終わらせる昭和の野球をもう一度です」(原文ママ)

「カッコよく」というのはいかにも新庄監督らしい表現だが、先発投手を長く投げさせることは私も大賛成である。

さらに、インスタグラムではこんなことも言っている。

「アメリカで3年プレーしましたが、はっきり言って学んだ事は試合に入るまでのスイッチの入れ替えの凄さだけで、後は全て日本の野球の考え方の方が上回ってると個人的に思います 先発投手がもうすぐつかまりそうの想像だけで、中継ぎに変えてたら先発投手の成長を止めてしまう ピンチを抑えるからこそレベルアップするし次につながると僕は判断してこの4年間やって来ての今です」(原文ママ)

私は長年、契約上のこととはいえ、100球をめどに先発投手を降板させるMLBのやり方に疑問を持っていた。ここにきて日本の現場で、ようやくこうしたことを口にする人物が現れてきたのを嬉しく思う。同時に、日本ハムがここ2年間で大きく躍進した理由もよく理解できた。投手は先発完投を目指してこそなのだ。日本ハム以外の11球団でも、こうした考え方が浸透してほしいと願う。

北海道・札幌にある日本ハムの本拠地・エスコンフィールド
北海道・札幌にある日本ハムの本拠地・エスコンフィールド
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文/江本孟紀

『長嶋亡きあとの巨人軍』(扶桑社)
江本孟紀
『長嶋亡きあとの巨人軍』(扶桑社)
2025年11月1日
1,045円(税込)
200ページ
ISBN: 978-4594101572

長嶋さん亡きあと、野球界、とりわけ巨人の行く末は厳しいものになるんじゃないのか。
2025年はそう悲観的にならざるを得ない1年だったように思える。

そこで本書では、長嶋さん亡きあとの巨人について、野球界の動向と重ね合わせながらお伝えしていければと思い、筆をとった。
主力打者が不振にあえぐ際には長嶋さんの力を借りて打撃指導を行ったり、チーム状況が思わしくないときにも長嶋さんを呼んで檄を飛ばしてもらったりもしたが、当然ながらこれからは一切できない。

巨人が抱えている課題は何なのか。さらには球界全体ではびこる諸問題にも、躊躇せず切り込んでいきたい。

長年野球界を見続けてきた解説者の視点で、日本野球をどう改善していけばいいのか、あますことなく述べるつもりだ。
巨人にとって、あるいは球界全体にとって、少しでも参考になれば、この上ない幸せである。

江本孟紀 (本書「はじめに」より)

【本書の内容】
第1章 東京ドームに「閑古鳥が鳴く日」がやってくる!?
第2章 1990年代の巨人に大物選手が次々とFAでやってきた、本当の理由
第3章 巨人の魅力がなくなった理由。私はこう考える
第4章 甲斐拓也は巨人にとって必要だったのか
第5章 阿部慎之助は名将となり得るのか
第6章 長嶋さん亡きあと、球界を盛り上げるだろう、3人の元メジャーリーガーたち
第7章 長嶋さん亡きあとの、巨人と野球界のこれから

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