「作品じゃなくて消費されるものをやろう」

――逆に言うと、今までライブをやめていったコンビと、自分たちが違ったところは何だと思いますか?

やつい ほかの人たちは「ライブがゴールじゃなかった」んでしょうね。ライブでテレビディレクターや演出家を呼んで関係作りをして、番組出演につなげようとする人が多かった。一見すると賢いやり方に見えますし、大きな事務所の人ほどそういう傾向がありました。

でも僕らは「ライブをやりたい」から始めたんです。ライブをやること自体がゴール。テレビに出たいから単独ライブをやるとか、大会で優勝したいからライブをやる、そういう発想じゃなかった。

他のみんなは「別の何かをやるための手段」としてライブをやっていたので、結果的にテレビに出られるようになれば「もうやらなくていい」となってやめる。もちろん、うまく仕事に繋がらないからってやめる人もいる。だからライブをやり続けるモチベーションがが違うのかと。

単独ライブへの想いを語るやついいちろう
単独ライブへの想いを語るやついいちろう
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――確かにこの頃の世代の人たちって、1〜2回は単独ライブをやるけれど、テレビに出たりなんかすると、やめていく人が多かった気がします。エレキコミックさんは特別な道を歩いてきた印象ですね。

今立 意外と僕ら、テレビ尺のネタがないんですよね。単独ライブだと15分くらいのネタで、それを3分や2分に削るのはなかなか……。

やつい そうそう。ここ10年ぐらいは本当に「ライブのためのライブ」しかやってないですから。テレビに出ようとも思ってない。もはや「ネタはライブでしかできない」っていう(笑)。

――ただ、ファンからすると、せっかくネタを作ったのに「1回きりで終わってしまうのがもったいない」と思うこともあります。ご自身らはそういう思いはありませんか?

やつい もったいないとは思わないですね。むしろ最初から「残らないネタでいい」と考えてました。25年前からそうです。昔から「消費されるものをやろう」と意識してました。みんなはネタを「作品」と言いますけど、僕らは「作品じゃなくて消費されるものをやろう」と。でも25年経ったら、もうその意識すらなくなって、特に何も考えなくなりましたね。

後編へ続く)

取材・文/ライター神山 撮影/井上たろう

■ エレキコミック第35回発表会「50」日時: 2025年9月19日(金)18:30開場 19:00開演 2025年9月20日(土)12:30開場 13:00開演 / 16:30開場 17:00開演2025年9月21日(日)12:30開場 13:00開演 / 16:30開場 17:00開演会場:東京・シアターサンモール 料金:全席指定 一般席5600円 / 学生割引3300円(要学生証の提示) / 配信3000円チケット:一般発売中