昨年の総裁選後、麻生氏は「仲間作りをして準備をしておけ」と…
二つ目の懸念材料が、“保守派のライバル”の出現だ。
つまりは、前回総裁選に出馬した“コバホーク”こと、小林鷹之元経済安保相(50)の台頭も、高市氏にとっては懸念材料とみられる。
「ハーバード大院卒で財務官僚出身の小林氏は、岸田内閣で、当時、当選3回ながら経済安保相に起用された自民党のホープです。故・安倍晋三総理も期待を寄せ、2人で食事をする間柄だった。
2021年の総裁選では推薦人になるなど、もともと高市氏とは近しい間柄でしたが、昨年の総裁選には小林氏自身も出馬し、保守派の論客として存在感を示しました。
『総裁選があれば次も出る』と公言しており、7月28日の両院議員懇談会でも石破総理の責任論を追及しました。高市氏と小林氏の双方が名乗りをあげることにより、保守派の票が分裂することを危惧する声も党内にはあります」(前出・政治部記者)
三つ目の懸念点は、前回総裁選で支援を受けた麻生太郎・自民党最高顧問(84)の支援を今回も受けられるかどうかだ。
現存する唯一の派閥を率いる麻生氏は、次期総裁選において一定の影響力を持つとみられるが、麻生派所属議員は筆者の取材に対して「麻生さんはまだ腹の内をみせてない」と打ち明ける。
「石破総理を蛇蝎のごとく嫌う麻生氏は、前回総裁選で高市氏を支援。総裁選後には高市氏に『飲み会に行って仲間作りをして準備をしておけ』と助言したとされます。
高市氏は7月23日夕方に、麻生氏と議員会館で面会するなど、今も頼みの綱としていますが、麻生氏が今回も高市氏を支援するかどうかは未だ不確定な面もあります」(自民党関係者)
麻生氏は今年に入ってから、鈴木英敬衆院議員や、田野瀬太道衆院議員ら、小林氏に近い若手・中堅議員を集め、「麻生塾」と題した食事会を重ねてきた。周囲に「与野党ともにこの人ならと思ってもらえる総理じゃなきゃダメだ」と語る一方で、「最後は勝ち馬に乗る」(前出・自民党関係者)との見方も強い。
高市氏は立ちはだかる壁を乗り越え、支持を拡げられるのか。「女性初の総理」を目指した戦いはすでに始まっている――。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班