生きていることに感謝して楽しんで生きる
俳優活動すらも、「死に向かっている道中での出来事」と捉えている。
「20代のころ、『死後の世界』を紹介していたことでおなじみの、丹波哲郎さんと共演させていただく機会があったんですね。
撮影に入る前に『死んだらどうなるのか』をお伺いしたくてずっとお待ちしていたんですけど、丹波さんが遅刻をしてしまって(笑)。到着したらすぐに撮影が始まってしまって、結局話しかけることができなかった。それもあって、ますます死への興味が高まったこともあります」
「どうなりたいという目標はないんですが、生きていれば、『死ぬ瞬間』という待ちに待った未知のゴールがある。それを思うとなんとかなる気もするんですね。
とはいえその瞬間はいつ来るかわからないので、過去を悔やんだり、落ち込んだりして前に進まないのはよくない。いま生きていることに感謝して楽しんで生きることがベストなのではないでしょうか」
そんな原田さんにとっての社会貢献は、「身近な人を喜ばせること」だとも。
「日課のランニングのときに、ゴミ拾いもするようにしているんですね。それって、誰にでもすぐできて、みんなに確実に喜ばれる社会貢献ですよね。あと俺の場合、写真やサインを求められたらできる限り応えることにしています。みんなが確実に喜んでくれることをすると、こちらも確実に嬉しいですから」
原田さんのYouTubeの番組名は、「原田龍二の『ニンゲンTV」」である。
死を楽しみにしながら、喜怒哀楽を受け入れて人生を転がり続ける。それが原田龍二、もとい「人間」らしさの醍醐味なのかもしれない。
PROFILE
原田龍二(はらだ・りゅうじ)●1970年10月26日生まれ、東京都出身。第3回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」準グランプリ受賞。1992年、ドラマ『キライじゃないぜ』(TBS系)で俳優としてデビュー。1996年、映画『日本一短い「母」への手紙』で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。ドラマ、映画をはじめ、バラエティーや旅番組でも活動。主な出演作に、5代目佐々木助三郎役を演じたドラマ『水戸黄門』、『相棒』シリーズ、映画『一月の声に歓びを刻め』、『太陽とボレロ』、舞台『大奥』シリーズなど。
映画『ハオト』8月8日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
出演/原田龍二・長谷川朝晴・三浦浩一・片岡鶴太郎(特別出演) 高島礼子ほか
監督 脚本 プロデューサー/丈
配給/渋谷プロダクション 製作/JOE Company
2025/日本語/STEREO/アメリカンビスタ/117min
(C) JOE Company
取材・文/木原みぎわ 撮影/山田智絵