誰よりも死を楽しみにしている俳優
今回の映画に関わったことで、自分を見つめ直すきっかけにもなったと語る。
「まともな人なんて、いないんじゃないか。いや、何がまともかなんて、わからない。プラスもマイナスも、光も影も、どこから見るか、誰が見るかによるだけではないのかと。
俺についても、今回の映画のオファーが来たように求めてくれる人間もいれば、あの騒動があったこともあって『どうしようもないやつだ』と思っている人もいるでしょう。
『人間には多角的な面がある』のではなくて、『コミュニティーや時代の価値観、見る人によって違う』だけなんだと思います」
それを踏まえたうえで、「ただの反戦映画ではないことを伝えたい」とも。
「今回の舞台のような場所はまったくのフィクションだと思いますが、人々は危機に陥ったら、おかしなものにすがりかねない。戦争が良い悪いではなく、人間の危うさを表した内容だと思います。
加えて、終戦80周年という、節目の年に本作に出演できたことについても、かなり意義があると感じています」
映画『ハオト』には、劇中の人物たちが死に直面する場面が何度か登場する。
自身の人生において「死」というものに強い興味を抱き続けているという原田さんは、改めて自分の死生観と重ねてみたという。
「宇宙人や陰謀論、将来を漫然と不安に思うより、『死んだらどうなるか』ということのほうが興味がありますね。なぜなら、死ぬ瞬間は誰にも必ず来ますから。
どんな気持ちになるのか。魂が抜けるって、どんな感じなのか。死んだ後は何が見えるのか。考えるだけでワクワクします。
誰よりも死を楽しみにしている俳優だと自信があるくらいです」