まだまだ予測が難しい線状降水帯。自分の住む地域で発生したときに「真っ先にするべきこと」とは?
技術の発展により、台風情報など気象に関する予測の精度は上がっているが、まだまだ予測が難しいとされている線状降水帯。近年聞くようになった線状降水帯とはそもそもどのようなものなのか、2021年の6月から始まった新たな取り組みとは?
書籍『天気予報はなぜ当たるようになったのか』より線状降水帯から人命を守るための気象庁の闘いの記録を紹介する。
天気予報はなぜ当たるようになったのか #2
線状降水帯が発生したら
「顕著な大雨に関する気象情報」が発表されると、テレビなどでは速報が流れますし、ニュースや天気番組で豪雨の状況を解説する際にもこの言葉がキーワードとして使われます。
また、気象庁のホームページの「雨雲の動き」や「今後の雨」で、線状降水帯がどこで発生しているのかを確認することができます。では、線状降水帯が発生したと言われたらどうすればいいでしょう。
この情報が出されるのは、場所によっては、すでに警戒レベルが4になっている状況です。すでに市町村から「避難指示」などが出されているのであれば、一刻も早く避難が必要です。
「避難指示」などが出ていなくても、線状降水帯の雨域にいる場合には、事態が急激に悪化していきます。「キキクル」や水位の情報などを確認し、少しでも危ないと思ったら、早めに避難を始めてください。
ただし、気を付けなければならないことがあります。それは、線状降水帯が発生しなければ安全だというわけでは決してないということです。従来からある「大雨警報」や「キキクル」などを使って、早め早めの避難行動で自分の命をしっかり守ることが大切です。
写真はすべてイメージです 写真/Shutterstock
天気予報はなぜ当たるようになったのか
長谷川 直之
2025年6月6日発売
1,012円(税込)
新書判/256ページ
ISBN: 978-4-7976-8158-1
私たちの生活に欠かせない「天気予報」はどのように作られているのか?
気象の予測技術開発、国際協力業務、「線状降水帯」の情報発表などに取り組んできた
元気象庁長官の著者が、その舞台裏をわかりやすく解説する!
身近だけれど、実は知らないことだらけの「天気予報」のしくみがわかる!
2025年は、日本の気象業務のはじまりから150年の節目の年!
【内容紹介】
○「天気予報」の精度は上がり続けている! そのワケは?
○「降水短時間予報」は、ふたつのいいとこ取りの技術を使っている
○正しく知る「警戒レベル」と「防災気象情報」の意味
○手ごわい「線状降水帯」。予測の切り札は次世代衛星「ひまわり」
○「天気に国境はない」。気象データは無料・無制約で国際交換
○地球温暖化は本当かフェイクかと論じている場合ではない
○「AI予報」で気象庁はどうなる?
など