「新東京マラソンの巻」(ジャンプ・コミックス157巻収録)

今回は、東京マラソンの開催に異を唱えた両さんが、大都会ならではの新マラソン大会を開くお話をお届けする。

本作が描かれたのは2007年。同年の2月に開かれた第1回「東京マラソン」を受けてのエピソードとなる。

東京マラソンはそれまで東京都で開かれていた、東京国際マラソン、東京国際女子マラソン、東京シティハーフマラソン、東京シティロードレース……といったレースを統合し、市民参加型の大規模シティマラソンにしたもので、東京マラソン財団が主催している。

当時の東京都知事・石原慎太郎は、ニューヨークやロンドンなどで開かれているシティマラソンに匹敵する催しを東京で行って世界にアピールし、2016年の夏季オリンピックを東京に招へいしたいと考えていた。また、戦後日本政財界の影のフィクサーであり競艇界のドンと呼ばれた笹川良一が創立した日本財団率による強いアピールなどもあって、開催へとこぎつけた。

結果としてオリンピックの招へいは失敗したものの、その後、東京マラソンは大規模イベントとしてすっかり定着している。

なお、本作で両さんが提唱したのは、都心に立ち並ぶ高層ビルや地下深くに蟻の巣のように張り巡らされた地下鉄網をコースに見立てる縦移動中心のレースだ。

東京ならではのイベントといえるが、実はこの発想、決して荒唐無稽なものではない。山岳や超高層ビルを上り下りする「スカイランニング」というスポーツが実在し、その都市型種目として「階段垂直マラソン」が設定されているのだ。

ただし、両さんが参加条件として定めた「猿の着ぐるみを着用して出走」するレースは、世界広しといえども、他に聞いたことがない……。

それでは次のページから、猿の格好をした5万人の群れが、一斉に高層ビルを駆け上る、壮大でバカバカしい大マラソン大会の顛末をお楽しみください!!