「全店閉鎖」はやりすぎなのか?

「全店閉鎖」の対応については「異物混入が発覚した店舗だけでいいのでは?」「やりすぎなのでは?」という意見も出ているが、むしろ潔く全店閉鎖し、総点検を行なうほうが、広報的な視点でいえば正解だ。

とりわけ、今回の一件では発覚から世間への公表が2か月遅れてしまったことが致命的なミスだったという評価も多い。それだけに「全店閉鎖」の対応を取ることが一般イメージの観点から見ても望ましいと思われるのだ。

ますますDX化・省力化は進んでいく

気になるのは、「全店閉鎖」から営業再開後のすき家だ。

閉鎖期間は4日間であり、その間は改めて社員・アルバイトに店舗運営意識の見直し・徹底をしたり、各店舗の衛生状況の確認を行なったりするのだろう。

しかし、大局的に見て今回の一件がすき家に与える影響はどうだろうか。

実はここ数年、すき家は店舗におけるDX化や運営オペレーションの省力化を積極的に行なっていた。

代表的なのが「ディストピア容器」だ。これは、すき家の一部店舗で出される「使い捨て容器」のことで、下げ台はそのままゴミ箱になっている。これによって、店員は皿洗いや食器を片付ける負担がなくなる。

SNSで話題となった「ディストピア容器」(著者撮影)
SNSで話題となった「ディストピア容器」(著者撮影)
すべての画像を見る

また、皿洗いで生じるミスなどを防ぐことにもつながるため、今回のような異物混入の防止にもつながる。

「みそ汁へのネズミ混入」は店員による目視確認がなかったことによって起こった「人為的」なミスだとされているが、だとすれば、今後こうしたトラブルをなくすための手っ取り早い方法の一つは「商品提供においてなるべく人の手を通らせない」ことも考えられる。

現在、すき家で進んでいるDX化・運営オペレーションの省力化の流れは今度も進んでいくだろう。

また、こうした運営方針は店員の作業負担の軽減にもつながる。

いずれにしても、今回の件においてすき家が新たに大きな転換点を迎えるということはないだろう。むしろ、これまですき家が採用していた施策をより徹底して行なっていくことになるはずだ。

文/谷頭和希 写真/Shutterstock.