腸内環境を荒らす可能性があるゾヌリン

パンに含まれるグルテンにはゾヌリンというたんぱく質の一種が含まれます。ゾヌリンは腸の粘膜細胞のつなぎ目をゆるめてしまい、そこから体によくない物質が取り込まれる可能性が。

この現象は一般的に「リーキーガット症候群(腸管粘膜の透過性亢進)」と呼ばれ、アレルギーや肌荒れなどの原因になる可能性が指摘されています。これがパンの食べすぎはよくないと言われる所以です。

こう言われるとパンを排除したくなるかもしれませんが、全くパンを食べられない「セリアック病」の人は日本人では0.1%未満。ですので、パンを一生排除する必要もないかなと私は考えています。

写真/shutterstock
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体調を見ながら「ごはんときどきパン」

最も大切なことは頻度とタイミング。パンを食べる頻度が毎日の人と週1回の人では、腸に対するインパクトが異なることが想像できます。

また便秘や下痢、腹部膨満感などのお腹の症状があるときにはパンを控えておくなど、タイミングを見計らうことも重要です。パンは手軽で食べやすいものですが、食パンや菓子パンは肥満や糖尿病のリスクも上昇させる可能性があります。

基本の主食はごはんとし、自分の体調を見ながらパンの頻度を月2回、4回などと目安を作っておけると◎。この頻度は年々変化していく可能性もあるので、フレキシブルに対応していくのがよいでしょう。

2007年に行われたメタ分析では、大麦粉や全粒粉などを利用したパンは糖尿病リスクを低下させることが示されています。

パンでもごはんでも食物繊維を多く含むものが「健康効果あり」というわけですね。これらのことを踏まえて、ご自身なりのパンとの付き合い方を考えていけるとよいと思います。

日本人がパンを食べる理想の頻度は月に2~4回? お米を食べたら太るは本当? 知っておきたい主食の栄養学_4
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図/書籍『おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学』より

おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学
あこ
おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学
2024/12/17
1,694円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4816376498

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