他人に消費される、デジタルタトゥーとの向き合い方

──プロデュース業も始めたのはなぜでしょうか。

裏方になって稼ぎたいっていうのもありますし、アダルトな仕事をする女の子が他人に搾取されずに稼げるような選択肢を増やしたいとも思っています。

未来のことまで深く考えてからアダルトな仕事を始める子って、あまりいないと思うんですよ。例えば直近で10万円が欲しいんだったら、裸になって顔を世に晒すようなAVに出る必要はなくて、風俗で数日働くだけでいいんです。

もっと高額なお金が必要になったとしても、顔出ししてAV女優になるリスクを引き受ける前に、同人AVで顔出しなしの動画を売るとか、他にやりようってあると思うんですよね。

そういうことを考えずにアダルトな仕事をはじめて、気づいたら他人に消費されてる感覚になって、デジタルタトゥーも残っちゃったりして辛い思いをしてる子って、たくさんいると思うんです。

私はアダルト業界の中では自分の未来を捨てない働き方ができてる方だと思うので、そういう選択肢を求めている子がいたら手を差し伸べられるようになりたいです。

キャリア形成が難しいアダルト産業
キャリア形成が難しいアダルト産業

──困ってる人に手を差し伸べたいという考えは、昔からあるのでしょうか?

そんなふうに考えられるようになったのは、自分の力で稼げるようになってからですね。でも、他人に消費されるような働き方をすると病んでしまうという感覚は前々からありました。

──どういうときに自分が消費されていると思いましたか?

以前、別名義でグラビアのDVDを発売したことがあるんです。Amazonのグラビアのカテゴリで売上1位とかになったのですが、もらえるギャラは固定で10万円でした。グラビアのDVDって、自分の存在を宣伝するための広告みたいな扱いで、認知を広げたあとに撮影会で稼ぎましょうみたいな世界でした。

そのときは自分がやりたくてやったから後悔はないんですけど、「広告になるから」「売名になるから」という理由で安い値段で働いてしまって、しかも販売する権利は他人が持ってる状態だと、消費されてるなって感覚になりますね。

──そのときの自分と似たような気持ちになってる人がいたら救いたいと。

わざわざたくさんの人を救いたいとまでは思わないけど、もし困ってる人が目の前に現れたときに、金銭面で協力できる余裕は持っていたいです。人を救えるのは気持ちよりもお金だと思っているので。

──稼いだお金は自分には使わないのでしょうか?

そうですね。お金を稼いでも、事業投資以外に使うことってあんまないですね。それに、お金で評価されること自体が楽しいなって思います。

大人になると、直接的に誰かに褒めてもらえることって少ないじゃないですか。稼いだ金額っていうのはわかりやすい自分の評価で、お金は大人の通信簿だなって感覚です。だから稼げば稼ぐほど自己評価があがるというか。なんか人生って、桃鉄みたいだなって思ってます(笑)。

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取材・文/山下素童 撮影/Keigo

〈プロフィール〉
るるたん

1999年生まれ。19歳の時にデリヘル嬢としてデビュー。新宿の都内最大規模の大型店舗で、18ヶ月間のNo.1を経て殿堂入り。現在は、アダルトインフルエンサーとして活動している。2024年9月には、myfansにて自身初となるAVを公開し、爆発的な売上を記録。今はマネジメント事務所の運営にも力を入れている。SNS総フォロワー数は110万人にのぼる。そのほか最新情報は公式X@ruruka820にて。