九里に期待される山本由伸の穴埋め
一昨年、リーグ3連覇を果たしたにもかかわらず、昨年はリーグ5位と低迷したオリックスは今オフの戦力補強で九里亜蓮を獲得した。
昨季のオリックスはメジャー移籍した山本由伸の穴を埋められず、その代役候補として期待の高かった山下舜平太、東晃平がそろって怪我で長期離脱。左腕エース・宮城大弥は防御率1.91と奮闘するも怪我の影響で規定投球回に到達せず、山本の不在がチームの不振に直結することとなった。
その影響はチーム全体の成績からも一目瞭然だ。
2023年のオリックスは先発防御率は2.61(リーグ1位)、救援防御率2.93(リーグ3位)、完投数5(リーグ3位)と、山本を筆頭とした圧倒的な先発力でリーグ優勝を果たした。しかし、山本が移籍した昨年のオリックスは先発防御率は2.88(リーグ3位)、救援防御率2.67(リーグ2位)、完投数5(リーグ最下位)となっている。
先発の補強が急務だったオリックスは今オフ、ソフトバンクから国内FA権を行使した石川柊太の争奪戦に参戦。5球団による争奪戦に敗れ、石川はロッテに移籍したが、今オフの補強は九里が正解だったという声が上がる。
「結果的には石川より九里のほうがよかった。今のオリックスはポテンシャルの高い若手投手がゴロゴロいる。ただ昨季は規定投球回に到達した投手が一人もおらず、1年間通して結果を残せるか未知数なので、確実に計算できるタフな先発がほしかった。
そういう意味では、この3年間でセリーグでも5本の指に入るイニングイーターの九里はうってつけの人材だと思う」(スポーツ紙オリックス担当)
九里は昨季まで8年連続で投球回110回以上をクリアし続け、2023年には両リーグ通じて球界トップの投球回を記録している。九里と山本の成績について、山本がメジャー移籍前の2023年度で比較してみると、NPBナンバーワン投手だった山本にも投球回と完投(完封)数では勝っている。
リーグが違うため単純比較はできないが、九里の補強はオリックスのチーム状況に適した補強だったとえいる。一方で、広島は人的補償が発生する九里の移籍に対して“金銭補償”という選択をした。なぜ広島は人的補償ではなく、金銭を選択したのか。