宝の山のオリックス若手よりも広島が守りたかったもの
「現在、広島の支配下枠は68人で残りは2枠。昨オフも同じ支配下枠68人という状況だったが、FA移籍した西川龍馬の人的補償で若手の日髙暖己を獲得した。だが、今季の広島の課題は投手ではなく、野手。獲るなら野手がほしいところだが、オリックスも広島と同じく貧打が課題のチーム。就任3年目で勝負の年を迎える新井貴浩監督にとって是が非でもほしい“即戦力野手”がいなかったのでしょう」(前同)
昨季終盤、首位に立ちながらも9月に大型連敗を喫してチームは最終的に4位に沈んだ。チーム打率.238、本塁打52本はいずれもリーグ最下位。得点415も5位で、慢性的な貧打が課題に挙がっている。さらにオリックスには若手有望株の投手は多数いるが、広島同様に野手の選手層は厚いとはいえない。
「オリックスが上手くプロテクトリストを作ったのでしょう。昨季の広島はシャイナー、レイノルズの両助っ人野手が開幕早々に怪我で離脱して、機能しなかったことも終盤の失速に響いた。育成選手や助っ人外国人のために支配下枠を空けておくことを優先している。即戦力の補強がなくても、現有戦力で昨年以上のチームを作れる自信があるのでは…」
今オフはすでに新外国人野手として、ドミニカ共和国出身のモンテロとファビアンの右打者2人を獲得。ドラフトでは1位で大学生野手の佐々木泰、現役ドラフトではオリックスから2軍打率.318のユーティリティー野手・山足達也を獲得している
「今回、金銭補償を選択したことで、就任3年目を背水の陣で挑む新井監督と広島の今季への本気度が見える。そもそも9月のウソみたいな大型連敗がなければ、優勝していたほどチームの地力はあるので、今季の広島は強いはず」
昨オフは未来への補強を選んだ広島が今オフ選んだ“金銭補償”は、勝負年に懸ける意気込みのあらわれか…。
取材・文/集英社オンライン編集部