「浅草シネマパラダイスの巻」(ジャンプ・コミックス97巻収録)
今回は、両さんが子供の頃の、映画館を舞台に繰り広げられる友情話をお届けする。
江戸時代から昭和中期にかけて、江戸、東京屈指の歓楽街として栄えた浅草……特に「六区」には、演芸場、演劇場、寄席、映画館などの施設が軒を並べていた。
なお「六区」とは……。まず、江戸時代に寺社が所有していた広大な土地を明治政府が接収。そして東京都がその土地から収益を得るために興行地として整備・管理し、6つの「区」に区分した。それらのうち、興業施設や高級料理店・料亭の営業を許されたのは「六区」に限られていたため、同区は浅草の中でも特に賑わい、発展したのだ。
昭和中期以降には、ほかの街や新たな娯楽……テレビ放送の勢いに押されて訪れる人々の数が減少し、かつての隆盛ぶりからすると寂しい状況になっていった。しかし近年は、「六区ブロードウェイ」として、盛り返しを見せている。
なお本作で描かれている「昭和30年代」(1955年~1964年)は、日本の映画産業が娯楽の王様として黄金期を迎えつつも、一般家庭へのテレビ受信機が普及したことにより衰退をはじめた時期だ。
それでは次のページから、往時の浅草の賑わいと映画館にこもった熱気をお楽しみください!!