「わが町・上野の巻」(ジャンプ・コミックス63巻収録)

今回は、夜勤明けの両さんが、中川をともなって上野を散策する、ちょっと渋好みのお話をお届けする。

台東区上野は、両さんの生家がある浅草とはお隣同士のような街で、地図で見ると浅草の左側に位置する。移動には地下鉄やバスなどを利用してもよいが、ゆっくり歩いても30分もあれば着いてしまう。

上野は江戸時代から栄えた歓楽街。かつては、現在の東北本線や常磐線に相当する路線のターミナル駅で、東京における「北の玄関口」とも呼ばれていた。

幕末においては、幕府の正規軍と見なされたグループ・彰義隊(しょうぎたい)が、将軍家の祈祷所・菩提寺だった寛永寺(かんえいじ)に立て籠もり、明治新政府軍との激闘を繰り広げた場所でもある。なお寛永寺の広大な敷地は、のちの上野恩賜公園になっている。

上野の見どころというと……なんといっても上野動物園や、本作でも登場するアメヤ横町が人気スポットだ。

その一方で、東京国立博物館、国立科学博物館、東京都美術館などのアカデミックな施設も存在している。そして先ほど挙げた、上野のお山や不忍池(しのばずのいけ)を擁している自然豊かなほっこりスポット、上野恩賜公園もあり、実に多彩な魅力がある街なのだ。

ちなみに、本作で両さんが語る「実家の佃煮屋が品物を納めていた吉池」とは、鮮魚を中心とした食材を扱うスーパーマーケットを指す。上野での営業を1933年からしている老舗だ。本社ビルの1階は自社の鮮魚店だが、2階以上のフロアには服飾店、レストランなどが入っている。

それでは次のページから、両さんと一緒に、上野の街の散策にお出かけください!!