「小学校の頃は野球部、高校では定時制に通った」
(#1から続く)
公園のベンチに腰掛けた男の父親は肩を落としこう話した。
「優しい子でクソまじめで、仕事があるときは『遅れないように』と始業より何時間も前に家を出ていた。本が好きで、英語も独学で10年ぐらいやってたからできると思うんだけど」
父がそう語る男は、心身ともにもろいところがあり、疲労がたまりやすく、すぐに体のあちこちが痛くなっては仕事を休み、長続きしなかったようだ。母親も病弱だったため、堀江容疑者が幼いころから父親が家事も仕事も両方こなしてきたが、脳梗塞の発作を2回経験し、今も薬が手放せないという。
「息子は体に痛みがあって、ひどい時はトイレにも這って行くくらいで、どうにもならないんですよ。救急車も3回くらい呼んでるんですけど、病院に行って1時間くらいしたら何ともなくて歩いて帰ってきたりすることもあるし。
原因も含めてよくわからないんです。普段、歩いていても突然、脂汗をかいてきて、だるくてすぐに座り込む。『どうしたね』と聞くと『ちょっと座る』とかね。(ここまでひどくなったのは)所沢に住んでガードマンの仕事をしてたんだけど、一昨年にそこを辞めてからだね」
男は4月に入って体調不良が続き、純金茶わんを盗んだ11日は久しぶりに外出できるほど体力が回復したのだそうだ。そんな堀江容疑者は、どんな少年時代を過ごしたのだろう。
「小学校のころは野球をやってたけど、体もちっちゃいし活発じゃないというか、鈍臭いとこがあるから、レギュラーにはなれなかった。中学になると、理由がわからないんだけど、学校に行かなくなった。『なんで学校行きたくないんだ?』って聞いても、ただ「行きたくない」って。1年生の途中からで、その後ずっと行かなかった。
で、『これじゃだめだ』と思って、不登校の子どもを集めるところに連れて行ってちょっと通わせて。それでも高校は、定時制に入れたんですけど、本人もそこから休みなく4年間無事通ってくれて。この間は働かずに高校に行ってただけだけど、友達も4~5人できて何とか4年間すごしたみたいです」