転職エージェント利用企業の増加で利用者も増加?
昨今、離職後の転職活動に関しては、自身で求人応募するだけでなく、キャリア相談などに乗りながら会社を紹介する“転職エージェント”を頼る人も少なくない。近年はTVやウェブでも、転職エージェントの広告は日々目にする。
ある種、転職業界は“流行っている”ようにも見えるが、前出の戸塚氏は「転職エージェントが流行しているという認識はない」と指摘する。
しかし、続けて「人材不足であるため、これまでの転職サイトによる募集や自社での募集だけでは人材確保が難しくなり、転職エージェントを利用する企業が増え、結果としてユーザー側が使う機会も増えたと捉えています」と、利用者が増加しているとの認識も示している。
また、前出の岡本氏は、転職エージェントを利用する企業だけでなく、エージェント会社そのものも爆発的に増えていると語る。
「今、有料職業紹介所(転職エージェント)は3万社を超えていて、これは全国のセブン-イレブンよりも多いんですよ。
実は、経営者界隈では『転職エージェントは儲かる』というのが認知されてしまって、今はもう遅いのに、新規に参入する会社がすごく多いんです。3万社のうち1万社以上は東京にあり、大手が利用者も求人も多いので、少ないパイを奪い合う、生き残りの厳しい業界でもあります」(岡本氏)
この生き残りの厳しさについては、ある現役の転職エージェントが、匿名を条件に話してくれた。
「転職エージェントって自社で持ってる求人だけじゃなくて、業者のデータベースがあるんですね。そこの求人はお金を払って契約したら紹介できるのですが、月25万円くらい、年間だと300万円ぐらいかかる。結局そういうところにマージンを持っていかれ、人材会社は実は全く儲からない、みたいな構造になってます。ウチももうヒーヒーですよ…。
大手なんて新卒からキャリアアドバイザーをやったりしますし、よくわかってないのにアドバイスをする業者も大量にあります。新卒が面談したって、説得力には欠けるのに」(現役転職エージェントのAさん)
ネット上では転職エージェントに対して辛辣な評価もあがっており、検索サジェストには「使わないほうがいい」と直球なワードが並ぶ。
SNSにも〈調子のいい話ばかり聞かされる〉〈エージェントによっては転職活動の邪魔にしかならない〉〈転職サイトのアドバイザーとかいう謎職業の人「元SEなので技術者目線で話せますよ!」とか言っといて、JavaとJavaScriptを同じ言語として扱うのやめてほしい〉といった体験談があがっているが、Aさんいわく、これには収益モデルが影響しているという。