当選後、部屋の床に2千万円を敷き詰めて…
2005年にロト6で1等3億2038万円に当選した久慈六郎さん(58)。当時、久慈さんは38歳(彼女いない歴5年)。社員8人の小さな会社に勤め、給料は税込みで月27万円。
「楽しみといえば月に1度のキャバクラ通いぐらいで、はっきりいって人生の負け組でした。ロト6は、当選するまでは、毎週千円くらいずつを3年ほど買い続けてました。
買い始めた動機は、なんとなく。買い方は直感とパソコンソフトを参考にするのが半々でしたね」(久慈さん、以下同)
そんな久慈さんの運命が変わったのが、2005年1月13日のこと。
「宝くじのホームページに登録してたので、抽選日にはいつも自宅のパソコンにメールが送られてくるんです。それで帰宅後にチェックしたら、『おい、当たってるよ!』って。1等を引き当てたのは、〈8、27、30、31、38、42〉で、すべて会社や当時の自分の年齢に関係する数字でした。
たぶん、どこかのチャンスセンターで、千円分くらいを買ったと思います。この夜はもう嬉しくて嬉しくて、握りこぶしで何度もガッツポーズをして、興奮して朝まで眠れませんでした」
ただし、幸せの絶頂をかみしめると同時に、早くもさまざまな心労に襲われたという。
「まずは当選券をどうしようかと思って。普段は財布に入れてるんですけど、落としたりカツアゲされたらどうしようって。かといって、家に置いておいたら、火事で燃えたりするかもしれないし。
さんざん悩んだ結果、1周まわって部屋の机の引き出しに入れておくことにしました。窓なんか簡単に蹴破れるボロアパートなんですけど、だからこそ逆に泥棒も入らないだろうと思って」
そして約1週間後、近くのみずほ銀行の支店に当選券を持ち込んだ。カウンターで「宝くじの件で」と伝えると、応接室に通されて、なにやら偉い人がぞろぞろとやってきたという。
「僕は、緊張でガチガチでした。でも、その場でお金ってもらえないんです。券が本物かどうかを本店で確認するらしくて、その日は預り証を発行してもらって退散しました。それで、数日後に連絡があって、改めて支店に出向き、入金された通帳をもらいました。
感想ですか? 最初は全額口座から下ろして、部屋に敷き詰めてみようかと思ったんですけど、それはやめて2千万円だけ下ろして敷き詰めましたね」
根が貧乏性の久慈さんは、突然、手にしたあぶく銭の使い方がまったく思いつかなかったという。
「使い道が思いつかないので、最初のうちはとりあえず眺めていました。その後は、大金を使ってみたい自分と、冷静になれよって説教する自分とがせめぎあっていたんですが、ようやく買った高価なものが、330万円のロレックスでした」