国民・維新が頼みの綱だが…
そして、過半数を失った自公は、連立政権の枠組みの拡大や、野党との協力を目指す。
非公認となっていた「裏金議員」は、萩生田光一氏、平沢勝栄氏、西村康稔氏の3氏が当選。また、和歌山2区で二階俊博元幹事長の三男に無所属で挑んだ世耕弘成氏も衆院鞍替えに成功した。
ただ、自公にこの4人を足したとしても219人で、過半数の233議席には及ばない。
そこで、他党との協力が不可欠になってくる。
自民は選挙戦中盤に自公の過半数割れを想定し、国民民主を連立に取り込むことなどを協議。維新側にも水面下で政権への協力を相談している。しかし、両党とも連立政権への参加には否定的だ。
こうした状況を受け、特別国会で行なわれる首班指名(首相を指名する選挙)の行方は不透明になってきた。
衆院での首班指名で、自公は石破氏に、立憲、国民民主、維新など各党がそれぞれ自党の代表に投票した場合、石破氏は1回目の投票で過半数を得られない。
そのため、上位2人による決選投票が行われる。
「この決戦投票で勝った人物が、衆院の指名を受けたということになります。石破氏VS立憲の野田佳彦代表の決選投票で、国民民主や維新がどう動くか。仮に計66議席を獲得した両党が棄権すれば、石破氏が野田氏を上回り、政権は存続できます。
自民としては、両党が石破氏に投票しないまでも、棄権してもらえるよう説得するのではないでしょうか」(全国紙政治部記者)
国民民主は2022年、岸田文雄首相(当時)がガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を検討することと引き換えに当初予算案に賛成したこともある。維新も菅義偉元首相らと近く、政府・与党とは「是々非々」の姿勢で臨むことを強調している。
そのため自民党内では「両党の政策の一部を実現する代わりに、法案や予算案ごとに賛成してもらって、なんとか自公政権を維持するしかない」と、両党を頼みの綱とする声が漏れる。
過去に、衆院で過半数を割り込んだ「少数与党」になった羽田孜内閣は64日で終わった。10月1日に発足したばかりの石破内閣の行く末は……。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班