「萩生田さんは疑惑王だ」

一方の有田氏も16日夜、隣のJR西八王子駅前で辻元清美立憲民主党代表代行の応援を得て演説会を開いている。

辻元氏は「萩生田さん、子どもたちの教育をつかさどる文部科学大臣をしていた人が、なぜ加計学園のときにも統一教会のときにも、裏金のときにも名前が出てくるのか。統一教会だけの人、裏金だけの人はいるが、三連チャン行なっている。疑惑王だ。普通の企業でも何でも組織では、これだけあったら出場停止でしょ」と舌鋒鋭く萩生田氏をこき下ろし、「そうだ」の声も飛んだ。

あいさつにまわる有田氏(撮影/集英社オンライン)
あいさつにまわる有田氏(撮影/集英社オンライン)

ただ、街宣車の周りに集まった聴衆は数十人程度。演説に先立ち有田氏は、駅前のバス停に並ぶ勤め帰りの人たちにあいさつをして回っていた。

有田陣営は選挙公示前、選挙事務所の場所を探しても断られ続けたという。

「空き部屋と宣伝が出ているので使えるか問い合わせると『もう決まった』と断られ続けました。ところがその物件はずっと空いたままということが何度もあったんです」と陣営関係者は話す。

演説会の聴衆の規模では数倍の差がつき、事務所探しにも苦労する―。

強大な地盤を誇り20年間国会議員の職を守り続けてきた萩生田氏とは勝負にならない状況も想像できる。ところが、オモテに表れない民心はかなり違うようなのだ。

「絶対に負けてはならない選挙です。しかし、かつてないほど厳しい」と話すのは萩生田陣営の関係者だ。

辻元氏(撮影/集英社オンライン)
辻元氏(撮影/集英社オンライン)

こうした発信は支持層の引き締めが目的ではなさそうだ。別の自民党筋は話す。

「党は10月に入ってから2回世論調査をしています。そのうち初旬の調査では有田候補が萩生田候補を上回ったのです。陣営は超緊張状態になりました。

系列の市議、都議の後援会組織が走り回り、10月11~13日に行なった2回目の調査では何とか萩生田候補が逆転しました。しかし僅差で、投票する候補者を決めていない人もかなりいます。安心できる状況ではまったくありません」