「日韓関係の最高到達点」と呼ばれた日韓共同宣言
くしくも、僕が留学した2023年は「未来志向のパートナーシップ」をうたった「日韓共同宣言」の発表から25年の節目の年であった。この宣言は1998年10月8日、小渕恵三首相と、訪日した金大中大統領が署名したもので、副題は「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」である。
政治、経済、文化など、43項目の行動計画がつくられ、「日韓関係の最高到達点」とも呼ばれている。
この宣言をきっかけに、韓国ではそれまで禁止されていた日本の映画や歌謡曲など、大衆文化が解禁された。韓国の映画館で初めて公開された日本映画は、北野武監督の「HANA-BI」である。北野映画は韓国でよく観られている。
1998年に合計約260万人だった日韓の一年間の往来者数は、2018年に1000万人を突破。1998年に約3兆6000億円だった貿易総額が、2021年には約9兆3000億円になった(朝日新聞デジタル、2023年10月5日)。
もちろん、この25年間の日韓関係を見ると、歴史認識問題や領土問題をめぐって対立してきた時期もある。ときのリーダーが変わると、外交関係は揺れてきた。しかし、文化・市民交流の面では、日韓関係は着実に進展してきたといえる。
これまでは日本側がK-POPを消費する側面が目立ってきたが、近年は韓国が日本のポピュラー音楽を消費する側面も目立っている。その象徴がYOASOBIの「アイドル」の流行だと思う。
2023年末の紅白歌合戦でYOASOBIが「アイドル」を披露したとき、大勢のK-POPアーティストたちがダンスを披露して盛り上げたことも話題となった。
このステージは生放送で見ていて、あまりに豪華な顔ぶれのパフォーマンスに感動した。「アイドル」はこのステージのために作られた曲であるとすら思った。
韓国人はYOASOBIに熱狂し、日本人はNewJeansに心を奪われる。そんな時代がすでにやってきているのである。
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