コロナ対策でも主導権「非常住者は入館禁止」
その一つが、理事会が進めてきたコロナ対策だ。
熱海レジデンスでは、常に拠点として生活をしている常住者が約130人。それ以外の非常住者は50名強いる。
そうした非常住者は同施設をリゾートマンション代わりに使っており、週に1度訪れる者いれば、滅多に姿を見せない者もいるという。
コロナ禍が始まった頃、日本中で不要不急の外出の自粛を求める騒ぎが起きた。お家の一大事である。当然、この施設で暮らす常住者は、コロナに警戒しながら生活を送っていた。
当時のことを徳川さんが回想する。
「コロナのときはね、非常住者を制限しちゃいましたからね。東京から来るなって言ってね」
都内だけではなく、熱海以外から戻ってくる非常住者の入館を理事会が禁止したというのである。もちろんシニア向け施設であるがゆえ、コロナ対策に特別な警戒心を持つのは当然だろう。
しかし一方で、この施設は所有権分譲方式であり、言うまでもなく購入した居室は区分所有者の持ち物である。コロナ禍のため、都会よりも安全な熱海へ避難しようと考えた人もいたはずだ。
徳川さんが中心となった理事会メンバーが、そうした人たちの立ち入りを禁じるというのも、少々強引ではないか。事実、「何で自分の部屋に帰ってはいけないのか」とクレームになったこともあるそうだ。
こうした判断を、管理会社ではなく理事会主導で行っていることに驚かされたのだが、徳川さんは他にもコロナ禍でのルールを自分たちで決めたとし、こう胸を張った。
「それから常住者の子どもは(入館しても)いいけど孫はダメ。一親等までというのも我々が決めました。運営会社は何も決めないから」
さらに驚いたのは、理事会が購入希望者の受け入れに関わっていることだった。
この施設を購入しメンバー登録ができるのは55歳以上という決まりがあることは前に触れた。高齢者向けの介護サービスを提供するにあたり、そうした年齢の下限を設けている施設はそう珍しくない。一方で、年齢の上限はない施設が大半だ。この施設でも、従来は何歳でも購入希望者を受け入れていた。
ところが去年、年齢に上限を設けたほうがいいという案が理事会で持ち上がったようだ。