「修繕費問題だけじゃない!」あらゆる成果を熱弁
確かに、昨今の日本のマンションでは、老朽化に伴う修繕積立金の不足が深刻な問題になっている。建物の経年劣化が進むにつれ、修繕作業の種類や規模が増加し、当初設定された修繕積立金が現在の建築コストや修繕ニーズに追いついていないことなどが要因だ。
住民の中には追加の負担が困難なケースもあり、特に高齢者が多いマンションでは積立金の増額が難しい状況が社会問題と化している。
この熱海レジデンスも、そうした問題に直面していた。
石川さんは、JTBのコンピュータ関連会社の元社長だという。その彼が得意の計算力を生かし、修繕積立費不足の解決に尽力したそうだ。
「ですから、foreseeable future(予見できる未来)というか、見渡す限りの修繕費には困らない」
と徳川さんは大きく胸を張る。そして一同は、“御意”とばかりに頷いている。そんな彼らの理事会が“やってきたこと”は、これだけではないとして、徳川さんはこう続けた。
「ここは駐車場に停められる台数が限られていまして、いつも満車状態でした。この駐車場問題なんてのは、コレは有料化したんで空いてきたと。それから防犯カメラの設置も、酒井さんと石川さんでやってくれて。それからウエッブシステム。ウエッブでもって、あの議案書だとか手紙だとかを片付けちゃう」
ただ、徳川さんの「ウエッブ」という発音のせいか、目新しさは感じなかった。館内での諸連絡を円滑に行うため、Googleドライブを使ったシステムを駆使しているそうだ。
「中での連絡もそれで済んじゃう。議案書の作成もそれで上書きしちゃう。ここは建ってから31年ですけど、わりあい綺麗でしょ?カーペットも全部張り替えましたね。後は満足度調査もやりました。コレなんかは、皆さんのアレ(協力の下)ですけど」
徳川さんの話によれば、グループが展開する10棟の施設のうち、この「熱海レジデンス」が最もステータスが高いと言われているそうだ。それだけに施設をよりよくするため、理事会メンバーはあらゆる問題解決に乗り出してきたとアピールしたのだった。
文/甚野博則
写真/PhotoAC