自分のなかにいるイマジナリーな他者
自分の悩みが、自分が想像したにすぎないものであって、現実には現実の対応があることに気がついたら、少し気持ちが楽になったようです。
自分が想像している○○さんのネガティブな感情は、現実の○○さんのものではないのですから、これはイマジナリーなネガティビティであり、イマジナリーな○○さん(他者)というわけです。
その後、○○さんの態度については、やはり子どもの取り越し苦労であったそうですが、これをきっかけに○○さんとの距離感を変えてみるようにしたところ、うまくつきあえるようになったとのことです。
人とつきあう時には人の気持ちを考えなさい、と私たちは子どもの頃からたたきこまれています。「人の気持ちを考えない人」というのは悪口で使われるフレーズです。たしかに対人関係において、他者の気持ちを考えないとうまくいきません。
しかし、考えすぎてもうまくいかないのです。現実世界に実在する他者と、自分のなかにいるイマジナリーな他者がごちゃごちゃになると、自分で自分を苦しめてしまうことも起こります。
現実世界に実在する他者にとっても、自分が思ってもいないことを思っていると思いこまれてしまったら、はっきりいって迷惑です。他者の気持ちを考えすぎることは、自分のためにも他者のためにも、ほどほどにしたいものです。
このようなことがあって以来、子どもが同じようなことで心配しているような時は、「それって例のイマジナリーでネガティブなプロジェクションだね」と言ってみたり、子ども自身も「なんかまたあれこれ気になっちゃってるんだけど、これってイマネガ(略してる!)だよね」などと言って、肩の力を抜いています。